再度発生した風しんの国内流行の背景と公衆衛生対策
「1. はじめに」 風しんは, 一般に比較的軽症の「発疹をともなう発熱性ウイルス疾患」である. 風しんウイルスの感染から2週間ほどの潜伏期間を経て, 臨床所見としては発熱, 発疹, 後耳介部などのリンパ節腫脹を呈する. しかしながら, 発熱・発疹の出現前後の1週間程度, 咽頭からウイルスが排泄される. この所見は発症前の感染者からヒト-ヒト感染が起こる可能性を示唆している. また, このことは発症患者間の疫学的リンクの追跡を困難にする一因と考えられる. また, 妊娠20週までに妊婦が感染すると先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome; CRS)を発症する可能性...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 140; no. 7; pp. 901 - 904 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.07.2020
日本薬学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0031-6903 1347-5231 |
DOI | 10.1248/yakushi.19-00255-3 |
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Summary: | 「1. はじめに」 風しんは, 一般に比較的軽症の「発疹をともなう発熱性ウイルス疾患」である. 風しんウイルスの感染から2週間ほどの潜伏期間を経て, 臨床所見としては発熱, 発疹, 後耳介部などのリンパ節腫脹を呈する. しかしながら, 発熱・発疹の出現前後の1週間程度, 咽頭からウイルスが排泄される. この所見は発症前の感染者からヒト-ヒト感染が起こる可能性を示唆している. また, このことは発症患者間の疫学的リンクの追跡を困難にする一因と考えられる. また, 妊娠20週までに妊婦が感染すると先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome; CRS)を発症する可能性が高まる. CRSの3主徴は難聴, 先天性心疾患, 白内障である. 最近では2012-2013年に風しんの国内流行が発生し, この期間に16000例以上の風しん症例と45例のCRS症例が報告された. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.19-00255-3 |