ワクチンをめぐる最近の話題
「緒言」ジェンナーが天然痘ワクチンを使ったのは, 今からおよそ200年以上も前のことである. その後, WHOが天然痘の根絶計画を発表し, 1980年にはついに天然痘の撲滅が宣言された. そのほかにも多くのワクチンが開発され, 疾患の予防に大きく貢献してきたことは明らかである. その一方で, 未接種者や既接種者の抗体価の低下が原因で, 高校生や大学生で麻疹の集団感染が問題となった. 最近では, ヒトパピローマウイルス (HPV) ワクチン, インフルエンザ菌b型 (Hib) ワクチン, 肺炎球菌ワクチン, 単独不活化ポリオワクチン, ロタウイルスワクチンなど, 感染症に対する様々な新しいワクチ...
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Published in | 順天堂醫事雑誌 Vol. 59; no. 1; p. 11 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
2013
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Online Access | Get full text |
ISSN | 2187-9737 2188-2126 |
DOI | 10.14789/jmj.59.11 |
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Summary: | 「緒言」ジェンナーが天然痘ワクチンを使ったのは, 今からおよそ200年以上も前のことである. その後, WHOが天然痘の根絶計画を発表し, 1980年にはついに天然痘の撲滅が宣言された. そのほかにも多くのワクチンが開発され, 疾患の予防に大きく貢献してきたことは明らかである. その一方で, 未接種者や既接種者の抗体価の低下が原因で, 高校生や大学生で麻疹の集団感染が問題となった. 最近では, ヒトパピローマウイルス (HPV) ワクチン, インフルエンザ菌b型 (Hib) ワクチン, 肺炎球菌ワクチン, 単独不活化ポリオワクチン, ロタウイルスワクチンなど, 感染症に対する様々な新しいワクチンが話題となっている. さらに, 新型インフルエンザウイルスの脅威も迫っており, ワクチンに対する一般の人たちの関心も高い. ワクチンは, 単なる感染症予防の手段だけではなく, 治療の手段としても注目を集めている. たとえば, 各種の癌に対して癌ワクチンの治験が開始された. また, 副作用から開発がストップしていたアミロイドβワクチンの改良が行われ, 根本的な治療法が確立していないアルツハイマー病の治療手段として, その効果が期待されている. そこで, 本特集では, 小児科, 消化器内科, 婦人科, 脳内科の先生方に, これらのワクチンの現状と将来の展望について解説していただいた. インフルエンザワクチンについては, 長年インフルエンザをテーマとして研究を続けている新潟大学大学院国際感染医学の齋藤玲子教授に原稿の執筆をお願いしたところ, 快く引き受けてくださった. 本特集が, 会員の先生方の知識の整理に役立てば幸いである. |
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ISSN: | 2187-9737 2188-2126 |
DOI: | 10.14789/jmj.59.11 |