ヒトの腸内菌叢研究のためのin vitroおよびin vivo実験系

腸内菌叢は非常に活発な代謝活性を持ち,我々の健康や疾病に重要な役割を果たしている.しかし,腸内菌叢は膨大な種類の細菌が相互に関わりあった非常に複雑な生態系であり,代謝活性も宿主の全代謝を超えるといわれるほど活発であるため,腸内菌叢の生態や代謝,宿主に対する影響などを研究することは容易ではない.また,我々の腸内は高度な嫌気的な状態であることをはじめとして,栄養学的にも宿主側からの様々な要因が影響するなど,非常に特殊な環境であるために実験室内でその環境を再現し,腸内の状態をシミュレーションすることは困難である.そのため,腸内菌叢の代謝や役割を研究するためには特殊な技術が必要となる.本稿では腸内菌叢...

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Published inJournal of Intestinal Microbiology Vol. 25; no. 4; pp. 245 - 250
Main Authors 平山, 和宏, 伊藤, 喜久治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 腸内細菌学会 2011
日本ビフィズス菌センター
The Intestinal Microbiology Society
Subjects
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ISSN1343-0882
1349-8363
DOI10.11209/jim.25.245

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Summary:腸内菌叢は非常に活発な代謝活性を持ち,我々の健康や疾病に重要な役割を果たしている.しかし,腸内菌叢は膨大な種類の細菌が相互に関わりあった非常に複雑な生態系であり,代謝活性も宿主の全代謝を超えるといわれるほど活発であるため,腸内菌叢の生態や代謝,宿主に対する影響などを研究することは容易ではない.また,我々の腸内は高度な嫌気的な状態であることをはじめとして,栄養学的にも宿主側からの様々な要因が影響するなど,非常に特殊な環境であるために実験室内でその環境を再現し,腸内の状態をシミュレーションすることは困難である.そのため,腸内菌叢の代謝や役割を研究するためには特殊な技術が必要となる.本稿では腸内菌叢を研究するためのin vitroおよびin vivoにおける実験系について代表的な手法を紹介し,それぞれの特徴と問題点を概説する.
ISSN:1343-0882
1349-8363
DOI:10.11209/jim.25.245