Small for Gestational Age児における成長ホルモン分泌不全の合併についての検討

Small for gestational age(SGA)性低身長症に対する成長ホルモン(GH)治療は投与量や医療費の公的補助が成長ホルモン分泌不全症(GHD)と異なることから,治療開始前にGH分泌能を評価することが重要である.本研究は低身長のSGA児におけるGHD合併の頻度とGHDを検出する有用な指標を明らかにすることを目的とした.産業医科大学病院および九州労災病院にてGH治療を開始したSGA児について診療録を用いて後方視的に検討した.6歳以下でGH治療を開始した22例のSGA児のうち9例(41%)がGHDを合併していた.GHD合併の有無による出生時の在胎期間,身長,体重,GH療法開始時の...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 40; no. 3; pp. 253 - 257
Main Authors 多久, 葵, 山本, 幸代, 斎藤, 玲子, 桑村, 真美, 荒木, 俊介, 川越, 倫子, 河田, 泰定, 池上, 朋未, 久保, 和泰, 後藤, 元秀, 楠原, 浩一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 産業医科大学 01.09.2018
産業医科大学
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ISSN0387-821X
2187-2864
DOI10.7888/juoeh.40.253

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Summary:Small for gestational age(SGA)性低身長症に対する成長ホルモン(GH)治療は投与量や医療費の公的補助が成長ホルモン分泌不全症(GHD)と異なることから,治療開始前にGH分泌能を評価することが重要である.本研究は低身長のSGA児におけるGHD合併の頻度とGHDを検出する有用な指標を明らかにすることを目的とした.産業医科大学病院および九州労災病院にてGH治療を開始したSGA児について診療録を用いて後方視的に検討した.6歳以下でGH治療を開始した22例のSGA児のうち9例(41%)がGHDを合併していた.GHD合併の有無による出生時の在胎期間,身長,体重,GH療法開始時の身長およびインスリン様成長因子(insulin-like growth factors: IGF)-1値に有意差は無かった.しかし,身長の標準偏差(SD)が−3.2を下回ると有意にGHDの合併頻度が上昇し,感度55.6%,特異度84.6%,オッズ比11.6(95%信頼区間 1.52 − 89.1,P = 0.013)となり,身長SDはGHDを検出する有用な指標であった.本研究では低身長のSGA児の40%がGHDを合併していた.特に−3SDを下回る症例では,GHDの合併が多く,適切な診断に基づいたGH 治療を行うためには,積極的にGH分泌能の評価を行う必要がある.
ISSN:0387-821X
2187-2864
DOI:10.7888/juoeh.40.253