過敏性腸症候群と腸内細菌叢gut microbiota

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態に腸内細菌が大きく関与している可能性が高くなっている.感染性腸炎後にIBSが発症し,IBS患者の腸内細菌組成も健常者と異なる.ストレスは腸内細菌組成を変容させ,粘膜透過性亢進と内臓知覚過敏を招き,IBSの病態に沿った病理変化を起こす.IBS患者の腸内細菌を変容させ,症状が改善する場合には,同時に抑うつを中心とする中枢機能が改善する.IBS患者の糞便中の短鎖脂肪酸の濃度は消化器症状,quality of life,性格傾向にまで影響している.短鎖脂肪酸の種類による健康維持とIBS病態の分水嶺を腸内細菌が左右するモデ...

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Published inChōnai saikingaku zasshi Vol. 32; no. 1; pp. 1 - 6
Main Author 福土, 審
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Tokyo 公益財団法人 腸内細菌学会 2018
日本ビフィズス菌センター
Japan Science and Technology Agency
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ISSN1343-0882
1349-8363
DOI10.11209/jim.32.1

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Summary:過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome: IBS)の病態に腸内細菌が大きく関与している可能性が高くなっている.感染性腸炎後にIBSが発症し,IBS患者の腸内細菌組成も健常者と異なる.ストレスは腸内細菌組成を変容させ,粘膜透過性亢進と内臓知覚過敏を招き,IBSの病態に沿った病理変化を起こす.IBS患者の腸内細菌を変容させ,症状が改善する場合には,同時に抑うつを中心とする中枢機能が改善する.IBS患者の糞便中の短鎖脂肪酸の濃度は消化器症状,quality of life,性格傾向にまで影響している.短鎖脂肪酸の種類による健康維持とIBS病態の分水嶺を腸内細菌が左右するモデルが注目される.IBS患者の腸内細菌を脳腸相関に沿ってさらに検討する活動が有望である.
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ISSN:1343-0882
1349-8363
DOI:10.11209/jim.32.1