大学野球投手における下肢関節の力学的仕事量と投球速度との関係

「I. 緒言」野球では, 投手が果たす役割は大きく, 投手の能力として, どれだけ速い球を投げることができるかは, 勝敗を左右するうえで重要な要素の1つとなる(稲尾・吉村, 2001 ; 功力, 1991). 野球の投球動作では, 下肢のはたらきは, 投球速度を高めるうえで重要な役割をもつため, 下肢の動きは指導上の着眼点として重要性が指摘されてきた(荒木, 2003 ; 松尾ほか, 2010 ; Myers and Gola, 2000 ; 高橋, 2006 ; 与田, 2005). 例えば, 元プロ野球投手と熟練指導者の投球動作の指導に関する知識を整理および分類した研究(松尾ほか, 201...

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Published in体育学研究 Vol. 60; no. 1; pp. 87 - 102
Main Authors 和田, 智仁, 杉山, 敬, 前田, 明, 蔭山, 雅洋, 鈴木, 智晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2015
日本体育学会
Subjects
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.14061

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Summary:「I. 緒言」野球では, 投手が果たす役割は大きく, 投手の能力として, どれだけ速い球を投げることができるかは, 勝敗を左右するうえで重要な要素の1つとなる(稲尾・吉村, 2001 ; 功力, 1991). 野球の投球動作では, 下肢のはたらきは, 投球速度を高めるうえで重要な役割をもつため, 下肢の動きは指導上の着眼点として重要性が指摘されてきた(荒木, 2003 ; 松尾ほか, 2010 ; Myers and Gola, 2000 ; 高橋, 2006 ; 与田, 2005). 例えば, 元プロ野球投手と熟練指導者の投球動作の指導に関する知識を整理および分類した研究(松尾ほか, 2010)によると, 投球速度の向上には, 「踏込脚膝の最大高から踏込脚接地時までの軸脚への加重」と「踏込脚接地からボールリリースまでにかけての踏込脚への加重」といった下肢動作が重要であることが指摘されている. また投球動作は, 下肢によって生み出された力, エネルギー, 速度などがタイミングよく順次に加算・伝達されて末端へ伝わり, 末端のエネルギーや速度を大きくできるという運動連鎖の原則が成り立つ(阿江・藤井, 2002 ; Kreighbaum and Barthels, 1985).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.14061