投げの正確性に関わる上肢キネマティクス：ダーツ熟練者にみられる異なる方略間の比較

• Published in: 体育学研究 Vol. 60; no. 1; pp. 303 - 313
• Main Authors: 那須, 大毅, 松尾, 知之
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本体育学会 2015; 日本体育学会
• Subjects: 運動のばらつき; 運動制御; 関節運動
• ISSN: 0484-6710; 1881-7718
• DOI: 10.5432/jjpehss.14047

「1. 緒言」野球の投球やバスケットボールのシュート, ボウリングなど, 正確に投げることが要求されるスポーツ種目は多い. その中でも特に, 正確性そのものが競われる代表的な種目の1つにダーツ競技がある. 本研究では, 正確に投げることを追求してトレーニングを積んだダーツの熟練競技者が, どのようにして高い正確性を実現しているのかについて探る. 投じられたダーツが狙った的に当たるかどうかは, ダーツが指から離れた瞬間のダーツの位置, 速度, 投射角(以下, これらを「リリース変数」と略す)に大きく依存する. そして, これらリリース変数は, 空間的な手の軌道と, ダーツをいつ離すかというリリースのタイミングによって決定される. ボール投げ課題を用いた研究では, これらのうち, 特にリリースタイミングのばらつきが結果のばらつきと強く関連することが報告されており(Hore et al.,1996a, 1996b), 到達点の再現性を高めるためには, リリースタイミングのばらつきを減らすことが重要と考えられている.