広範囲な口腔内疾患に適用可能なメフェナム酸鎮痛スプレーの調製と臨床評価

「緒言」歯科口腔外科領域において, 口腔内の疼痛は患者のQOLを著しく低下させることから, その軽減は臨床上重要なテーマとなっている. 現在, 口腔内疼痛を有する患者のQOLの向上を目的とした院内製剤には, 外用剤として軟膏剤1,2), 含嗽剤3), スプレー剤4)などの剤形の研究, 開発が報告されている. しかし, 軟膏剤では口腔内の深部には塗布しにくいこと, 指などで塗布するために不衛生であることが, 一方, 含嗽剤では患部が広範囲な場合には適しているが局所性に劣ること, 一回使用量が多いと持ち運びが困難であることなどの問題点がそれぞれ指摘されている. 本研究では, 局所性に優れ, 使用量...

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Published in医療薬学 Vol. 32; no. 7; pp. 648 - 656
Main Authors 柳, 真志帆, 倉繁, 恵, 安藤, 崇仁, 松田, 重三, 井上, 圭三, 山岡, 桂子, 渡邊, 真知子, 新井, 七代, 西澤, 悟, 兒野, 喜穂, 平林, 慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2006
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.32.648

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Summary:「緒言」歯科口腔外科領域において, 口腔内の疼痛は患者のQOLを著しく低下させることから, その軽減は臨床上重要なテーマとなっている. 現在, 口腔内疼痛を有する患者のQOLの向上を目的とした院内製剤には, 外用剤として軟膏剤1,2), 含嗽剤3), スプレー剤4)などの剤形の研究, 開発が報告されている. しかし, 軟膏剤では口腔内の深部には塗布しにくいこと, 指などで塗布するために不衛生であることが, 一方, 含嗽剤では患部が広範囲な場合には適しているが局所性に劣ること, 一回使用量が多いと持ち運びが困難であることなどの問題点がそれぞれ指摘されている. 本研究では, 局所性に優れ, 使用量が少なくてすむため安全性が高く, 携帯に便利で使用が簡便な剤形としてスプレー製剤の導入を検討した. 含嗽剤やスプレー剤のように水溶液とした剤形では, 局所の貯留性が低く, さらに, 主薬が不溶性の場合には溶液内に均一に分散させるのが困難である. そこで, 増粘, 分散, 安定化の目的から水溶性高分子を添加し, 口腔内での主薬の滞留時間を延長させる工夫が従来よりなされてきた. 水溶性高分子では, これまでカルボキシルメチルセルロース(CMC-Na)が使用される例が多かったが, 不快味によるコンプライアンスの低下や粘膜付着性が低いことや, さらにはこれまで無毒と考えられていたCMC-Naの経口摂取によりアナフィラキシーショックを来した症例が報告5)されたことなどから, これに代わる分散剤として, ポリアクリル酸ナトリウム6), アルコックス7), イナゲル7)などの新たな水溶性高分子を使用した水溶液の調製が報告されている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.648