総頸動脈直接穿刺を行った血栓回収療法の1例

79歳女性.急性大動脈解離の術後に失語,左共同偏視,右片麻痺を発症し,NIHSS 32点であった.最終未発症時刻から2時間30分であり,ASPECTS 10点,頭部CTAで左中大脳動脈M1近位部閉塞を認め,血栓回収療法の適応と判断した.大動脈解離の合併があることから,大腿動脈経由,上腕動脈経由は不可能であると判断し,エコーガイド下に左総頸動脈直接穿刺の方針とした.TICI 3の再開通を得た.気管内挿管した後にシース抜去,人工呼吸器管理とした.術後は合併症なく経過し,第3病日に抜管となった.血栓回収療法時のアクセスルート困難時には総頸動脈直接穿刺を考慮すべきであり,総頸動脈解離合併症例に対しては...

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 1; pp. 41 - 45
Main Authors 木村, 尚人, 園田, 卓司, 高橋, 賢, 菅原, 孝行, 松永, 拓, 滝川, 浩平, 菊池, 貴彦, 横沢, 路子, 土井尻, 遼介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
日本脳卒中学会
Subjects
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10904

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Summary:79歳女性.急性大動脈解離の術後に失語,左共同偏視,右片麻痺を発症し,NIHSS 32点であった.最終未発症時刻から2時間30分であり,ASPECTS 10点,頭部CTAで左中大脳動脈M1近位部閉塞を認め,血栓回収療法の適応と判断した.大動脈解離の合併があることから,大腿動脈経由,上腕動脈経由は不可能であると判断し,エコーガイド下に左総頸動脈直接穿刺の方針とした.TICI 3の再開通を得た.気管内挿管した後にシース抜去,人工呼吸器管理とした.術後は合併症なく経過し,第3病日に抜管となった.血栓回収療法時のアクセスルート困難時には総頸動脈直接穿刺を考慮すべきであり,総頸動脈解離合併症例に対しては,エコーガイド下で安全に穿刺が可能であった.また,止血後は皮下血腫による気道圧迫を考慮し,気管内挿管,人工呼吸器管理が必要と考える.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10904