前庭再生医療研究の将来展望

「はじめに」我が国はすでに超高齢化社会に突入し, 今後要介護者数の増加は生産年齢層の負担に繋がることが危惧されるため, 要介護に陥る前にフレイルを予防することが重要とされている. 一般的に加齢による前庭機能低下に伴い, 転倒リスクが増加することから, 健康寿命延伸の為にも前庭障害への再生医療の確立は社会的にも重要な課題の一つである. 内耳障害について, 鳥類の蝸牛器官および前庭においては, 形態学的にも機能的にも自発的に再生することが知られている. しかしながら, 哺乳類においては, 一部の前庭有毛細胞が再生するとの報告があるものの, 機能的な再生についての詳細は不明である. また前庭有毛細胞...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inEquilibrium Research Vol. 78; no. 3; pp. 219 - 227
Main Authors 田浦, 晶子, 岡野, 高之, 扇田, 秀章, 西村, 幸司, 山本, 典生, 大森, 孝一, 中川, 隆之, 伊藤, 壽一, 大西, 弘恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 30.06.2019
日本めまい平衡医学会
Online AccessGet full text
ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.78.219

Cover

More Information
Summary:「はじめに」我が国はすでに超高齢化社会に突入し, 今後要介護者数の増加は生産年齢層の負担に繋がることが危惧されるため, 要介護に陥る前にフレイルを予防することが重要とされている. 一般的に加齢による前庭機能低下に伴い, 転倒リスクが増加することから, 健康寿命延伸の為にも前庭障害への再生医療の確立は社会的にも重要な課題の一つである. 内耳障害について, 鳥類の蝸牛器官および前庭においては, 形態学的にも機能的にも自発的に再生することが知られている. しかしながら, 哺乳類においては, 一部の前庭有毛細胞が再生するとの報告があるものの, 機能的な再生についての詳細は不明である. また前庭有毛細胞は加齢に伴い細胞数が減少すると共に耳毒性薬物などで一旦障害されると十分な再生は困難とされている. これまで内耳障害に対する再生基礎研究は聴覚領域を中心に多数報告されており, 今後は前庭障害に対する再生医療の実現が期待され, 様々な前庭基礎研究が進められている.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.78.219