回盲部近傍のメッケル憩室穿孔による胎便性腹膜炎の1例

メッケル憩室穿孔による胎便性腹膜炎は稀であるが,文献上,憩室を含む腸管切除が施行されることが多い.我々は,回盲弁から非常に近いメッケル憩室の穿孔による胎便性腹膜炎に対して,憩室の楔状切除で術後経過が良好であった1例を経験したので報告する.症例は在胎32週4日に2,133 gで出生した男児.全身状態は安定していたが,出生直後の腹部エコーで肝下面に高輝度の砂粒状陰影を伴う腫瘤を指摘された.日齢1に腹部膨満が増強し,単純X線撮影で腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.腹腔内に石灰化した胎便が散在し,回盲弁から1 cm口側の腸間膜対側に穿孔した憩室を認めた.肛門側腸管に明らかな...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 6; pp. 1210 - 1215
Main Authors 宮川, 亨平, 小西, 健一郎, 石丸, 哲也, 藤代, 準, 杉山, 正彦, 魚谷, 千都絵, 岩中, 督, 五嶋, 翼, 新井, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2018
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.54.6_1210

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Summary:メッケル憩室穿孔による胎便性腹膜炎は稀であるが,文献上,憩室を含む腸管切除が施行されることが多い.我々は,回盲弁から非常に近いメッケル憩室の穿孔による胎便性腹膜炎に対して,憩室の楔状切除で術後経過が良好であった1例を経験したので報告する.症例は在胎32週4日に2,133 gで出生した男児.全身状態は安定していたが,出生直後の腹部エコーで肝下面に高輝度の砂粒状陰影を伴う腫瘤を指摘された.日齢1に腹部膨満が増強し,単純X線撮影で腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.腹腔内に石灰化した胎便が散在し,回盲弁から1 cm口側の腸間膜対側に穿孔した憩室を認めた.肛門側腸管に明らかな狭窄を認めず,憩室の楔状切除のみを行った.術中所見でmesodiverticular bandを伴ったことから,本症例はメッケル憩室の穿孔による胎便性腹膜炎と診断した.術後経過は良好で43病日に退院した.術後5年経過するが明らかな異常を認めていない.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.54.6_1210