アルコール多飲による低カリウム血症性ミオパチーの1例

症例は67歳, 男性. アルコール多飲者で入院3年前から1日7 ~ 8回と頻回の下痢があり近医で止痢剤と整腸剤を処方されていた. 入院1日前から全身脱力感を自覚し, その後歩行困難となったため当院に救急搬送された. 来院時, 手指尖部に軽度痺れがあったが立位不可能で座位保持も困難な状況であった. 血液検査では低カリウム血症 (K 2.1 mEq/l) とクレアチンキナーゼ上昇 (CK 3,836 U/L) を認めたが各種ホルモン検査は正常であった. 入院後も頻回の下痢を認めたが, 絶食およびカリウム補正を行ったところ血清カリウム値は正常化し, それに伴い下痢や脱力感およびCK値も改善した. 第...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 65; no. 4; pp. 299 - 302
Main Authors 田村, 遵一, 大嶋, 清宏, 神戸, 将彦, 青木, 誠, 村田, 将人, 金子, 稔, 萩原, 周一, 中島, 潤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2015
Subjects
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.65.299

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Summary:症例は67歳, 男性. アルコール多飲者で入院3年前から1日7 ~ 8回と頻回の下痢があり近医で止痢剤と整腸剤を処方されていた. 入院1日前から全身脱力感を自覚し, その後歩行困難となったため当院に救急搬送された. 来院時, 手指尖部に軽度痺れがあったが立位不可能で座位保持も困難な状況であった. 血液検査では低カリウム血症 (K 2.1 mEq/l) とクレアチンキナーゼ上昇 (CK 3,836 U/L) を認めたが各種ホルモン検査は正常であった. 入院後も頻回の下痢を認めたが, 絶食およびカリウム補正を行ったところ血清カリウム値は正常化し, それに伴い下痢や脱力感およびCK値も改善した. 第7病日に退院となった. 低カリウム血症は致死的に成り得, また低カリウム血症性ミオパチーの鑑別は多岐にわたるため, 確実にカリウム補正を行いながら原因検索を進めることが肝要である.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.65.299