末梢静脈栄養と成分栄養剤の投与で治癒したS状結腸癌術後縫合不全の1例
大腸癌術後の縫合不全には一時的人口肛門造設による経口摂取の維持, または中心静脈栄養 (以下, TPN) による保存治療, といった栄養療法が必要となる. 今回, S状結腸癌術後の縫合不全に対しTPNを行わずに保存的に治癒した症例を経験した. 症例は54歳の男性で, 膀胱浸潤S状結腸癌の診断で当科に紹介された. 回腸にも浸潤を認め, S状結腸切除, 膀胱・回腸合併切除を行い, 結腸は端々吻合で再建した. 病理診断はT4b, N0, H0, P0, M0, StageIIであった. 術後頸部までの広範に気腫を伴う縫合不全が出現した. 患者は保存治療を希望したが中心静脈カテーテルの設置が困難であっ...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 65; no. 3; pp. 199 - 203 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.08.2015
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Subjects | |
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ISSN | 1343-2826 1881-1191 |
DOI | 10.2974/kmj.65.199 |
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Summary: | 大腸癌術後の縫合不全には一時的人口肛門造設による経口摂取の維持, または中心静脈栄養 (以下, TPN) による保存治療, といった栄養療法が必要となる. 今回, S状結腸癌術後の縫合不全に対しTPNを行わずに保存的に治癒した症例を経験した. 症例は54歳の男性で, 膀胱浸潤S状結腸癌の診断で当科に紹介された. 回腸にも浸潤を認め, S状結腸切除, 膀胱・回腸合併切除を行い, 結腸は端々吻合で再建した. 病理診断はT4b, N0, H0, P0, M0, StageIIであった. 術後頸部までの広範に気腫を伴う縫合不全が出現した. 患者は保存治療を希望したが中心静脈カテーテルの設置が困難であったため, 末梢静脈栄養と成分栄養剤で栄養管理し軽快した. 大腸術後の縫合不全に対する保存治療には一般的にTPNが必須とされるが, 低残渣が特質である成分栄養剤による栄養療法も選択肢となり, その創傷治癒促進作用も近年注目されている. |
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ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
DOI: | 10.2974/kmj.65.199 |