左肺底区より出血した気管支動脈蔓状血管腫の1例

背景.気管支動脈蔓状血管腫はほとんどが右側に起こるが,今回,左肺より出血した症例を綛験した.症例.75歳男性.脳梗塞のためにワルファリン内服中.喀血を主訴に当院を受診した.気管支鏡検査を行ったところ左B^9,B^ から活動性出血が見られ,気管支鏡下にトロンビンを散布し,ワルファリンの内服を中止するとともにビタミンKの経静脈投与を行い,止血を得た.CTを撮影したところ,拡張し蛇行した左気管支動脈が左肺下葉を中心に分布していた.気管支動脈蔓状血管腫による左肺S^9,S^ からの出血と診断し,再出血を予防するために左肺底区域切除術を行った.術後はワルファリン内服再開後も再出血なく経過している.考察....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 2; pp. 138 - 142
Main Authors 土屋, 武弘, 浅井, 威信, 田代, 研, 佐野, 厚, 川島, 光明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2014
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.36.2_138

Cover

More Information
Summary:背景.気管支動脈蔓状血管腫はほとんどが右側に起こるが,今回,左肺より出血した症例を綛験した.症例.75歳男性.脳梗塞のためにワルファリン内服中.喀血を主訴に当院を受診した.気管支鏡検査を行ったところ左B^9,B^ から活動性出血が見られ,気管支鏡下にトロンビンを散布し,ワルファリンの内服を中止するとともにビタミンKの経静脈投与を行い,止血を得た.CTを撮影したところ,拡張し蛇行した左気管支動脈が左肺下葉を中心に分布していた.気管支動脈蔓状血管腫による左肺S^9,S^ からの出血と診断し,再出血を予防するために左肺底区域切除術を行った.術後はワルファリン内服再開後も再出血なく経過している.考察.気管支動脈蔓状血管腫の治療については気管支動脈塞栓術や気管支動脈外科的結紮術などの低侵襲な治療法も行われるが,出血源の局在が確認された場合には肺切除は最も確実な治療法である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.2_138