広範な気管・気管支狭窄に対する自作T-stentとcustomized Y-stentを用いたdouble stent療法

背景.中枢気道狭窄に対するステント留置は標準的な治療となり,種々のステントが適応されている.しかし下部気管から中間気管支幹に至る広範な狭窄に対しては,市販のステントでの対処は難しい.そのような病態に対しては,市販ステントのカスタマイズが必要になる.目的.気管下部から両主気管支をカバーするcustomized Y-stentと右肺上葉の含気を確保するための自作T-stentを用いたdouble stent療法を施行し,その臨床効果と合併症を検証する.対象.当院で治療した81例の気道狭窄症例の中で,気管下部から左主気管支と右主気管支から中間幹に至る狭窄病変があり,右肺上葉への換気が必要な12例を対...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 6; pp. 423 - 430
Main Authors 山本, 優, 徳井, 宏太郎, 宮澤, 秀樹, 谷口, 浩和, 新納, 英樹, 能登, 啓文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.6_423

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Summary:背景.中枢気道狭窄に対するステント留置は標準的な治療となり,種々のステントが適応されている.しかし下部気管から中間気管支幹に至る広範な狭窄に対しては,市販のステントでの対処は難しい.そのような病態に対しては,市販ステントのカスタマイズが必要になる.目的.気管下部から両主気管支をカバーするcustomized Y-stentと右肺上葉の含気を確保するための自作T-stentを用いたdouble stent療法を施行し,その臨床効果と合併症を検証する.対象.当院で治療した81例の気道狭窄症例の中で,気管下部から左主気管支と右主気管支から中間幹に至る狭窄病変があり,右肺上葉への換気が必要な12例を対象とした.方法.自作T-stentは2本の直型シリコンステントを材料に作製した.Customized Y-stentは市販のY-stentをベースにして,気管分岐部周囲から左主気管支の形状に適合するように形成した.両ステントともに手術室で狭窄の治療中に作製し,硬性鏡下のイントロデューサーに充填して留置した.結果.12例中,早期の7例は既存のY-stentに直型ステントや金属ステントの追加などの方法で治療された.最近の5例(男性4例,年齢46〜76歳)には自作ステントを用いたdouble stent療法が行われた.全症例で気管支の状況に則した形でステントは留置され,手技中の合併症は起こらなかった.経過観察中も右肺上葉の換気は維持され,気道の再狭窄は認めずQOLは改善した.考察.自作T-stentとcustomized Y-stentのdouble stent療法は,右肺上葉の換気が必要な広範囲な狭窄病変に対する極めて有効な治療手段であると考える.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.6_423