リンパ節穿孔型気管支結核症の1例

背景.近年,高齢者のリンパ節穿孔型気管支結核症の報告が散見される,症例. 77歳女性.当センター受診の4か月前に右頸部リンパ節腫大を自覚. 3か月半後,胸部異常影を指摘され,精査・加療のため当センターへ入院した.入院時CT検査では,肺野の浸潤影に加え,縦隔および肺門部リンパ節腫大を認めた.臨床経過および10日間の抗菌薬投与が無効であったことなどより,肺浸潤影は肺炎ではないと考えた.胃液から結核菌が同定され,抗結核薬の投与で陰影が改善したこと,入院1か月後の気管支鏡検査で,右主気管支壁に白苔を伴う浮腫性の病変を認め,同部位の生検で壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫を認めたことより,リンパ節穿孔型気管支...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 35; no. 4; pp. 430 - 434
Main Authors 鍵山, 奈保, 石黒, 卓, 山川, 英晃, 河手, 絵理子, 杉田, 裕, 高柳, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2013
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.35.4_430

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Summary:背景.近年,高齢者のリンパ節穿孔型気管支結核症の報告が散見される,症例. 77歳女性.当センター受診の4か月前に右頸部リンパ節腫大を自覚. 3か月半後,胸部異常影を指摘され,精査・加療のため当センターへ入院した.入院時CT検査では,肺野の浸潤影に加え,縦隔および肺門部リンパ節腫大を認めた.臨床経過および10日間の抗菌薬投与が無効であったことなどより,肺浸潤影は肺炎ではないと考えた.胃液から結核菌が同定され,抗結核薬の投与で陰影が改善したこと,入院1か月後の気管支鏡検査で,右主気管支壁に白苔を伴う浮腫性の病変を認め,同部位の生検で壊死を伴う類上皮細胞性肉芽腫を認めたことより,リンパ節穿孔型気管支結核症と,それに続発した肺結核症と診断した.抗結核薬の投与により頸部リンパ節も縮小し,同病変も結核性リンパ節炎と考えた.結論.リンパ節穿孔型気管支結核症に続発した肺結核症の画像所見の集積が望まれる.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.35.4_430