原ら"気管支洗浄液の16S ribosomal RNA遺伝子検索で診断に至ったNocardia abscessusによる肺ノカルジア症の1例"

本論文は, 気管支洗浄液から培養した菌株の抗菌薬感受性試験結果より推定した菌種と違う菌を, 16S ribosomal RNA遺伝子配列検索により同定しており, その正確な診断に遺伝子検査が有用であったとの報告である. 呼吸器感染症の診断に対して侵襲的な気管支鏡検査をした場合でも診断困難な例はあるが, 得られた検体の検査に遺伝子解析技術を利用することも常に考えるべきであることを示唆する貴重な症例報告と考える. 著者らも指摘しているが, 従来ノカルジア属菌の菌種の同定は抗菌薬感受性試験結果および菌の呈する生化学的性状に基づき行われていたが, 分子生物学的手法による新たな菌種の分類が進んでいる....

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Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 34; no. 5; pp. 421 - 422
Main Author 小倉, 高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2012
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.34.5_421

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Summary:本論文は, 気管支洗浄液から培養した菌株の抗菌薬感受性試験結果より推定した菌種と違う菌を, 16S ribosomal RNA遺伝子配列検索により同定しており, その正確な診断に遺伝子検査が有用であったとの報告である. 呼吸器感染症の診断に対して侵襲的な気管支鏡検査をした場合でも診断困難な例はあるが, 得られた検体の検査に遺伝子解析技術を利用することも常に考えるべきであることを示唆する貴重な症例報告と考える. 著者らも指摘しているが, 従来ノカルジア属菌の菌種の同定は抗菌薬感受性試験結果および菌の呈する生化学的性状に基づき行われていたが, 分子生物学的手法による新たな菌種の分類が進んでいる. ノカルジア属菌は遅発育菌のためルーチン検査で菌の発育が見られないと検査終了となり, 検出が困難となることもあって診断困難であり, さらに培養に時間がかかり診断に時間がかかる点が指摘される. 本例では培養検体に対する遺伝子検査の有用性を報告しているが, 迅速診断にも有用性が指摘されている.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.5_421