気管支鏡検査麻酔時の麻酔用シースカテーテルを利用した酸素投与法の経験

気管支鏡検査施行時には, 低酸素状態に陥ることにしばしば遭遇する.かかる状況を克服するために, 気管支鏡検査中は経鼻カテーテルを通して酸素投与を行っている施設も多い.著者らの施設では, 従来より麻酔用シースカテーテルを利用して, ごく少量の局所麻酔薬にて検者の局所麻酔薬の血中濃度も低くおさえている.また, このカテーテルに改良を加え, T型コネクターを接続し, 酸素回路に接続し, その圧力を利用し, 介助者を用いず任意量の局所麻酔薬を気道内に散布させ, 気管支鏡麻酔省力化の試みを行っている.現在は, 酸素の流れの抵抗を少なくするためにコネクターの形状をT型からY型に改良した.検査中に検者の酸素...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 24; no. 1; pp. 17 - 22
Main Authors 酒井, 滋, 森田, 裕人, 吉村, 博邦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2002
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.24.1_17

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Summary:気管支鏡検査施行時には, 低酸素状態に陥ることにしばしば遭遇する.かかる状況を克服するために, 気管支鏡検査中は経鼻カテーテルを通して酸素投与を行っている施設も多い.著者らの施設では, 従来より麻酔用シースカテーテルを利用して, ごく少量の局所麻酔薬にて検者の局所麻酔薬の血中濃度も低くおさえている.また, このカテーテルに改良を加え, T型コネクターを接続し, 酸素回路に接続し, その圧力を利用し, 介助者を用いず任意量の局所麻酔薬を気道内に散布させ, 気管支鏡麻酔省力化の試みを行っている.現在は, 酸素の流れの抵抗を少なくするためにコネクターの形状をT型からY型に改良した.検査中に検者の酸素投与を気管支鏡を通して同時に行うことができるので, 経鼻カテーテルを使用しなくても低酸素状態を回避できると考えられた.実際に, 定期的に吸痰を施行している患者に対し, 酸素流量計(3l/min)に接続して気管支鏡麻酔手技を行った場合と, 同量の圧縮空気回路に接続した場合について, 検査中の経皮的酸素飽和度(SpO2)と脈拍数の変動を経時的に記録し, それぞれ10回ごとの検査結果を比較検討した.検査に要した時間に有意差はなかった.圧縮空気を用いた場合, 検査開始直後にSpO2が80%台と低下しており, 脈拍数は90bpm台と増加していた.検査を施行している間に, 過換気状態になり, また, 気道の吸痰もされたためにSpO2は上昇してきたが, 脈拍数は時間とともに徐々に低下してきたものの検査終了時には, まだ, 80bpm台であった.一方, 酸素流量計(3l/min)に接続した場合, 検査開始直後よりSpO2は90%台を保っており, 脈拍数も60bpm台と安定していた.Y型コネクターを接続した麻酔用シースカテーテルを酸素流量計(3l/min)に接続して気管支鏡検査を行うことにより, ごく少量の局所麻酔薬の使用で検査を行えるとともに, 低酸素状態も回避でき, 安全・簡便に気管支鏡検査を行うことが可能となった.(気管支学.2002;24 : 17-22)
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.1_17