診断目的に行う局所麻酔下胸腔鏡の際,検査当日に胸腔ドレーンを抜去することの認容性

背景.局所麻酔下胸腔鏡検査は広く普及してきているが,検査後の胸腔ドレーンの適切な抜去時期は不明である.診断目的に行った局所麻酔下胸腔鏡検査の検査当日に胸腔ドレーンを抜去すること(以下,当日抜去)の認容性について,前向きに検討した.方法.精査のため胸腔鏡検査が必要と診断され,年齢20歳以上80歳未満,経皮的酸素飽和度90%以上,胸水貯留量が胸郭容量の半分以下,といった条件を満たし,事前の診察で呼吸器科医により全身状態を勘案し当日抜去が可能と判断された胸膜炎30例を対象とした.局所麻酔下胸腔鏡検査を行い,検査終了時留置した胸腔ドレーンを検査当日に抜去した.当日抜去の完遂率,胸腔ドレーン抜去までの時...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 35; no. 3; pp. 254 - 258
Main Authors 雨宮, 隆太, 山口, 昭三郎, 原口, 典博, 橋本, 幾太, 内海, 啓子, 朝戸, 裕二, 島田, 梨紗, 清嶋, 護之, 鏑木, 孝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2013
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.35.3_254

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Summary:背景.局所麻酔下胸腔鏡検査は広く普及してきているが,検査後の胸腔ドレーンの適切な抜去時期は不明である.診断目的に行った局所麻酔下胸腔鏡検査の検査当日に胸腔ドレーンを抜去すること(以下,当日抜去)の認容性について,前向きに検討した.方法.精査のため胸腔鏡検査が必要と診断され,年齢20歳以上80歳未満,経皮的酸素飽和度90%以上,胸水貯留量が胸郭容量の半分以下,といった条件を満たし,事前の診察で呼吸器科医により全身状態を勘案し当日抜去が可能と判断された胸膜炎30例を対象とした.局所麻酔下胸腔鏡検査を行い,検査終了時留置した胸腔ドレーンを検査当日に抜去した.当日抜去の完遂率,胸腔ドレーン抜去までの時間,当日抜去の不能理由,合併症と,1か月以内の胸水排液症例数を検討した.結果.2009年8月から2011年2月までの連続30例が登録された.30例のうち1例は胸腔鏡検査の中止のため除外された.2例は検査時に胸膜癒着術が必要と考えられ除外された.残りの27例について検討を行った.27例のうち癌性胸膜炎は13例,結核性胸膜炎は6例,慢性膿胸1例,反応性胸膜炎1例,非特異的胸膜炎6例だった.当日抜去ができた症例数は26例(96%)で,当日抜去まで平均5.4時間であった.当日抜去ができなかった症例は対側の気胸を発症した1例であった.合併症は皮下気腫と気胸が認められ,1か月以内の胸水排液は2例であった.結語.適切な症例の選択により,当日抜去は十分な認容性があると考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.35.3_254