3臓器病変を認めたBirt-Hogg-Dube症候群の1例
背景.Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群は,肺,腎臓,皮膚の3病変が臨床的特徴とされている常染色体優性の遺伝性疾患である.肺嚢胞,腎腫瘍,毛盤腫を3徴とするBHD症候群の1例を経験したため報告する.症例.65歳女性.労作時呼吸困難を主訴に受診し右自然気胸と診断された.その後の検査で多発肺嚢胞を背景にした再発性気胸,片側性多発腎細胞癌,毛盤腫を認めた.気胸の家族歴があることからBHD症候群を疑い,遺伝子検査にてFLCN遺伝子exon 11領域の変異を認めて確定診断に至った.再発性気胸に対して結紮,縫縮,胸膜カバーリング術,片側性多発腎細胞癌に対して片側腎摘出術を施行した.術後約9カ月再...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 6; pp. 599 - 604 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2014
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.36.6_599 |
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Summary: | 背景.Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群は,肺,腎臓,皮膚の3病変が臨床的特徴とされている常染色体優性の遺伝性疾患である.肺嚢胞,腎腫瘍,毛盤腫を3徴とするBHD症候群の1例を経験したため報告する.症例.65歳女性.労作時呼吸困難を主訴に受診し右自然気胸と診断された.その後の検査で多発肺嚢胞を背景にした再発性気胸,片側性多発腎細胞癌,毛盤腫を認めた.気胸の家族歴があることからBHD症候群を疑い,遺伝子検査にてFLCN遺伝子exon 11領域の変異を認めて確定診断に至った.再発性気胸に対して結紮,縫縮,胸膜カバーリング術,片側性多発腎細胞癌に対して片側腎摘出術を施行した.術後約9カ月再発を認めず,経過観察中である.結論.BHD症候群は稀な疾患であるが,家族歴を呈する自然気胸の診療において本疾患を鑑別に挙げることが,腎腫瘍の早期発見,および適切な治療につながるため重要であると考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.36.6_599 |