肺非結核性抗酸菌症との鑑別が困難であったサルコイドーシスの1例

背景.サルコイドーシス,抗酸菌症はともに肉芽腫性病変を呈し,画像所見としてもしばしば類似する場合がある.症例.59歳女性.健診での胸部異常陰影により当科紹介となった.胸部CTでは両側の上・中肺葉に小粒状影および気管支・血管束の肥厚,また軽度の気管支拡張像を認めた.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球上昇,CD4/CD8の上昇,経気管支肺生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めたことから,サルコイドーシスと診断した.しかし後日,喀痰および気管支洗浄液にて抗酸菌培養が陽性となり,Mycobacterium gordonaeが同定された.リンパ節腫大や眼病変を認めない点はサルコイドーシスとしては典型的ではない...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 6; pp. 611 - 616
Main Authors 前山, 隆茂, 伊地知, 佳世, 中西, 洋一, 古山, 和人, 高山, 浩一, 濱田, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2014
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.36.6_611

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Summary:背景.サルコイドーシス,抗酸菌症はともに肉芽腫性病変を呈し,画像所見としてもしばしば類似する場合がある.症例.59歳女性.健診での胸部異常陰影により当科紹介となった.胸部CTでは両側の上・中肺葉に小粒状影および気管支・血管束の肥厚,また軽度の気管支拡張像を認めた.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球上昇,CD4/CD8の上昇,経気管支肺生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めたことから,サルコイドーシスと診断した.しかし後日,喀痰および気管支洗浄液にて抗酸菌培養が陽性となり,Mycobacterium gordonaeが同定された.リンパ節腫大や眼病変を認めない点はサルコイドーシスとしては典型的ではないが,生検組織では抗酸菌も陰性であり,感染症状も認めなかったため,サルコイドーシスとして無治療経過観察を行ったところ,半年後には陰影の改善を認めた.結論.非結核性抗酸菌症は近年増加傾向にあり,サルコイドーシスの鑑別診断として考えておく必要がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.6_611