超音波気管支鏡併用の縦隔鏡検査で診断した左反回神経より発生した中縦隔神経鞘腫の1例

背景.中縦隔腫瘍は,周囲を大血管に囲まれアプローチが困難なために術前診断が困難な場合が多い.症例.症例は78歳の男性.咳嗽を主訴に受診し,胸部CTとMRI所見で中縦隔に3.6cm大の腫瘤を認めた.喉頭・気管内局所麻酔下での気管支鏡検査を試みたが,気管・気管支軟化症による換気不全のために検査不可能であった.そこで全身麻酔下にEBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下経気管支針生検)を行ったところ採取された検体では確定診断がつかず,引き続いて縦隔鏡検査を行った.縦隔鏡下に観察したが鏡視下には腫瘤と断定できず, EBUSで腫瘤を確実に描出し,縦隔鏡下生検を行った.病理検査所見で紡錘形細胞からなる腫瘍...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 35; no. 6; pp. 611 - 616
Main Authors 大塩, 恭彦, 北村, 将司, 花岡, 淳, 上田, 桂子, 大内, 政嗣, 藤田, 琢也, 手塚, 則明, 橋本, 雅之, 尾崎, 良智, 井上, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2013
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.35.6_611

Cover

More Information
Summary:背景.中縦隔腫瘍は,周囲を大血管に囲まれアプローチが困難なために術前診断が困難な場合が多い.症例.症例は78歳の男性.咳嗽を主訴に受診し,胸部CTとMRI所見で中縦隔に3.6cm大の腫瘤を認めた.喉頭・気管内局所麻酔下での気管支鏡検査を試みたが,気管・気管支軟化症による換気不全のために検査不可能であった.そこで全身麻酔下にEBUS-TBNA(超音波気管支鏡ガイド下経気管支針生検)を行ったところ採取された検体では確定診断がつかず,引き続いて縦隔鏡検査を行った.縦隔鏡下に観察したが鏡視下には腫瘤と断定できず, EBUSで腫瘤を確実に描出し,縦隔鏡下生検を行った.病理検査所見で紡錘形細胞からなる腫瘍性病変を認め,免疫染色でS-100蛋白が陽性であり神経鞘腫と診断した.結論.中縦隔腫瘍に対して縦隔鏡とEBUS-TBNAの両者を併用することで,安全に確定診断を得ることが可能であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.35.6_611