気管狭窄を伴ったChronic Expanding Hematomaの1例

背景.Chronic expanding hematomaは出血が原因で進行性に増大する血腫である.症例.症例は68歳男性.15年前右肺癌に対して右肺全摘術を,翌年に右膿胸に対して開窓術を施行した.2年前から右胸腔内に緩徐に血腫が貯留し始め,次第に充満し縦隔を圧迫する症状を来すようになった.Chronic expanding hematomaと診断した.気管狭窄,上大静脈症候群を認め入院した.止血のため胸腔内血腫への流入動脈の塞栓術を行った.血腫膿瘍除去手術を施行した.胸腔内に明らかな腫瘍性病変を認めなかった.術後症状は改善した.病理検査では切除した胸膜に扁平上皮癌組織を認めた.術後1週間ほど...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 37; no. 6; pp. 678 - 683
Main Authors 柴崎, 隆正, 丸島, 秀樹, 浅野, 久敏, 森川, 利昭, 山下, 誠, 尾高, 真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2015
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.37.6_678

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Summary:背景.Chronic expanding hematomaは出血が原因で進行性に増大する血腫である.症例.症例は68歳男性.15年前右肺癌に対して右肺全摘術を,翌年に右膿胸に対して開窓術を施行した.2年前から右胸腔内に緩徐に血腫が貯留し始め,次第に充満し縦隔を圧迫する症状を来すようになった.Chronic expanding hematomaと診断した.気管狭窄,上大静脈症候群を認め入院した.止血のため胸腔内血腫への流入動脈の塞栓術を行った.血腫膿瘍除去手術を施行した.胸腔内に明らかな腫瘍性病変を認めなかった.術後症状は改善した.病理検査では切除した胸膜に扁平上皮癌組織を認めた.術後1週間ほどで再び血腫が貯留し始めた.全身状態が増悪し死亡に至った.結語.本症例では癌の存在がchronic expanding hematomaの病態を修飾し,血腫形成と臨床経過に影響を与えた.縦隔を偏位させ気管を高度に狭窄させるほどの血腫が充満した本症例への治療は難しかった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.37.6_678