肺癌術後の有瘻性膿胸に対して外科的治療にEWS牽引固定術を併用して治療した1例
背景.有瘻性膿胸の治療には瘻孔閉鎖が不可欠でありさまざまな方法が報告されている.侵襲の大きな外科治療を行う場合にはより確実な閉鎖方法を選択する必要がある.症例.62歳男性,2009年7月に肺腺癌と診断し,右中葉切除+S^6区域切除+S^8a部分切除+心膜部分合併切除を施行した.術後補助化学療法1回終了後に呼吸苦・発熱と膿性痰をきたし,有瘻性膿胸と診断した.2度の気管支鏡EWS充填術を試みたが瘻孔の閉鎖ができず,膿胸腔掻爬術+人工心膜摘出術+広背筋弁充填術に加えて,術中EWS牽引固定術を施行した.術野の瘻孔より気管支内にナイロン糸を送り気管支鏡にて口腔外まで誘導し,EWSと結紮した後術野より牽引...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 6; pp. 617 - 621 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2014
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.36.6_617 |
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Summary: | 背景.有瘻性膿胸の治療には瘻孔閉鎖が不可欠でありさまざまな方法が報告されている.侵襲の大きな外科治療を行う場合にはより確実な閉鎖方法を選択する必要がある.症例.62歳男性,2009年7月に肺腺癌と診断し,右中葉切除+S^6区域切除+S^8a部分切除+心膜部分合併切除を施行した.術後補助化学療法1回終了後に呼吸苦・発熱と膿性痰をきたし,有瘻性膿胸と診断した.2度の気管支鏡EWS充填術を試みたが瘻孔の閉鎖ができず,膿胸腔掻爬術+人工心膜摘出術+広背筋弁充填術に加えて,術中EWS牽引固定術を施行した.術野の瘻孔より気管支内にナイロン糸を送り気管支鏡にて口腔外まで誘導し,EWSと結紮した後術野より牽引することで,内視鏡下のみよりも強固にEWSを責任気管支に固定することができた.術後4年経過後も気漏再発なく外来経過観察中である.結論.術野からの牽引によってEWSを責任気管支に固定する方法は,外科治療に追加することのできる有効な方法であると考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.36.6_617 |