喀石により喀血が消失した気管支結石症の1例

背景.気管支結石症は,気管支内腔に石灰化物が存在する状態と定義され,喀血の原因のうち0.8%と比較的稀な疾患と考えられている.症例.71歳男性.胸部不快感を自覚し, 100ml程度の喀血を認めたため,当院に救急搬送され緊急入院となった.左S^<1+2>に分布する気管支動脈に拡張血管と血管増生を認めたために,同部位に対して気管支動脈塞栓術を施行した.その後,喀血の量や頻度は著明に減少したが,出血部位を確認するために気管支鏡を施行した.左B^<1+2>cに結石を認めたが活動性の出血は見られないため観察のみで終了した.その後,外来で経過観察していたが,数日に1回程度のわずかな...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 35; no. 2; pp. 140 - 144
Main Authors 猶木, 克彦, 浅野, 浩一郎, 田坂, 定智, 上石, 修史, 依田, 聡, 舩津, 洋平, 田中, 希宇人, 副島, 研造, 別役, 智子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2013
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.35.2_140

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Summary:背景.気管支結石症は,気管支内腔に石灰化物が存在する状態と定義され,喀血の原因のうち0.8%と比較的稀な疾患と考えられている.症例.71歳男性.胸部不快感を自覚し, 100ml程度の喀血を認めたため,当院に救急搬送され緊急入院となった.左S^<1+2>に分布する気管支動脈に拡張血管と血管増生を認めたために,同部位に対して気管支動脈塞栓術を施行した.その後,喀血の量や頻度は著明に減少したが,出血部位を確認するために気管支鏡を施行した.左B^<1+2>cに結石を認めたが活動性の出血は見られないため観察のみで終了した.その後,外来で経過観察していたが,数日に1回程度のわずかな血痰は自覚していた.気管支鏡から半年後,咳嗽時に白色の結石を喀出した.確認のために気管支鏡を再度行ったが左B^<1+2>cの結石は消失,気管支は開存していた.喀石に伴い血痰は消失し画像所見も改善を認めた.結論.喀石は気管支結石症症例のうち約10%と珍しいが,喀石により症状が改善することもある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.35.2_140