胸腔内上部気管癌に対して右後側方切開にて気管管状切除を行った1例

背景.気管腫瘍に対する気管管状切除ではアプローチ法として胸骨正中切開が選択されることが多いが,症例によっては右後側方切開が有用なことがある.症例. 55歳女性.咳嗽を2年前から認めていた.健診で撮影された胸部CTで胸腔内上部気管腫瘍を指摘された.気管支鏡では,気管は全長で16リングの軟骨輪があり,輪状軟骨から肺側8から10軟骨輪の位置に2cm大のポリープ型腫瘍を認め,生検で腺様嚢胞癌と診断した.画像検査上,食道筋層浸潤が疑われたため,気管の背面と食道の間の操作が容易な右胸腔からのアプローチを選択した.右後側方切開第4肋間開胸での良好な視野のもとで気管と食道を剥離し, 4リング分の気管管状切除を...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 34; no. 3; pp. 257 - 261
Main Authors 野守, 裕明, 河野, 光智, 大塚, 崇, 奥井, 将之, 泉, 陽太郎, 後藤, 太一郎, 堀之内, 宏久, 安樂, 真樹, 橋本, 浩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2012
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.34.3_257

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Summary:背景.気管腫瘍に対する気管管状切除ではアプローチ法として胸骨正中切開が選択されることが多いが,症例によっては右後側方切開が有用なことがある.症例. 55歳女性.咳嗽を2年前から認めていた.健診で撮影された胸部CTで胸腔内上部気管腫瘍を指摘された.気管支鏡では,気管は全長で16リングの軟骨輪があり,輪状軟骨から肺側8から10軟骨輪の位置に2cm大のポリープ型腫瘍を認め,生検で腺様嚢胞癌と診断した.画像検査上,食道筋層浸潤が疑われたため,気管の背面と食道の間の操作が容易な右胸腔からのアプローチを選択した.右後側方切開第4肋間開胸での良好な視野のもとで気管と食道を剥離し, 4リング分の気管管状切除を施行した.術後経過は良好であった.病理学的に気管断端は陰性であり,食道への浸潤も認めなかったが,食道との剥離面に腫瘍が近かったので,放射線を腫瘍床に50Gy照射した.術後9か月で合併症なく,再発所見を認めていない.結論.食道への浸潤が疑われる胸腔内上部気管癌に対する気管管状切除において,右後側方切開によるアプローチは有用である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.34.3_257