肺線維症類似の画像所見を示した肺炎型肺腺癌の1例

背景.肺腺癌の亜型の1つに,肺炎型肺腺癌(pneumonic-type adenocarcinoma : P-ADC)として経気道的に多発性・両側性に肺内進展するものが報告されている.また,腫瘍細胞から産生される種々のサイトカインが腫瘍周囲の線維化をきたすことも報告されている.症例. 76歳男性. 2か月間持続する乾性咳嗽で当院紹介受診となり,胸部単純CTで両肺に広がるすりガラス影や浸潤影に加え,蜂巣肺の所見を認めた.間質性肺炎が疑われ,右中葉より気管支肺胞洗浄を行ったところ腺癌細胞を認めた.対側肺の生検でも肺胞上皮置換性および乳頭状の浸潤増殖形態を混じる腺癌の所見であり,経気道性の肺内進展が...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 36; no. 5; pp. 519 - 524
Main Authors 川波, 敏則, 山崎, 啓, 迎, 寛, 西田, 千夏, 白石, 朝子, 石本, 裕士, 川波, 由紀子, 矢寺, 和博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2014
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.36.5_519

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Summary:背景.肺腺癌の亜型の1つに,肺炎型肺腺癌(pneumonic-type adenocarcinoma : P-ADC)として経気道的に多発性・両側性に肺内進展するものが報告されている.また,腫瘍細胞から産生される種々のサイトカインが腫瘍周囲の線維化をきたすことも報告されている.症例. 76歳男性. 2か月間持続する乾性咳嗽で当院紹介受診となり,胸部単純CTで両肺に広がるすりガラス影や浸潤影に加え,蜂巣肺の所見を認めた.間質性肺炎が疑われ,右中葉より気管支肺胞洗浄を行ったところ腺癌細胞を認めた.対側肺の生検でも肺胞上皮置換性および乳頭状の浸潤増殖形態を混じる腺癌の所見であり,経気道性の肺内進展が疑われ, P-ADCと診断した.また画像経過から腫瘍の進展とともに線維化病変を生じたと考えられた.結論. P-ADCが線維化病変を生じる可能性が示唆され,この場合,間質性肺炎と類似した画像所見を示す可能性がある.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.36.5_519