胸水貯留を認めたサルコイドーシスの1例
背景.サルコイドーシスの胸膜病変合併例は稀であるとされており,過去の報告では1%以下から11%と報告されている.胸膜病変として胸水貯留や胸膜肥厚,難治性の気胸が認められる.我々の症例では胸水貯留を認め,診断のために胸腔鏡検査を施行し,稀とされている胸膜サルコイドーシスの特徴的な胸腔鏡所見を得た.症例.56歳,女性.健康診断の胸部X線で肺門リンパ節の腫脹と右中下肺の浸潤影,右の少量胸水を認め来院した.胸水,気管支肺胞洗浄液中のCD4/8比の上昇,気管支粘膜の毛細血管拡張像,気管支生検からの肉芽腫性病変から,肺サルコイドーシスと診断した.症状も軽微であったため経過観察していたが,比較的急速に胸水量...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 4; pp. 300 - 305 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2003
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.25.4_300 |
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Summary: | 背景.サルコイドーシスの胸膜病変合併例は稀であるとされており,過去の報告では1%以下から11%と報告されている.胸膜病変として胸水貯留や胸膜肥厚,難治性の気胸が認められる.我々の症例では胸水貯留を認め,診断のために胸腔鏡検査を施行し,稀とされている胸膜サルコイドーシスの特徴的な胸腔鏡所見を得た.症例.56歳,女性.健康診断の胸部X線で肺門リンパ節の腫脹と右中下肺の浸潤影,右の少量胸水を認め来院した.胸水,気管支肺胞洗浄液中のCD4/8比の上昇,気管支粘膜の毛細血管拡張像,気管支生検からの肉芽腫性病変から,肺サルコイドーシスと診断した.症状も軽微であったため経過観察していたが,比較的急速に胸水量が増加してきた.胸膜病変を伴うサルコイドーシスは稀であり,胸水の確定診断を得るために胸腔鏡検査を施行した.肉眼的には,臓側胸膜,壁側胸膜に灰白色の小結節が多発しており,同部位の生検結果から,乾酪壊死を伴わない類上皮肉芽腫とラングハンス巨細胞を認めた.結論.肺・胸膜サルコイドーシスの特徴的な胸腔鏡所見が得られた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.25.4_300 |