気管支拡張症に伴う喀血症例の検討

喀血をきたした気管支拡張症67例(男性43, 女性24例, 平均年齢57.0歳)について臨床的に検討した。胸部単純写真で気管支拡張を確認できたのは13例(19.1%)のみであった。気管支鏡検査で, 出血を確認できたのは38例(56.7%)と過半数を占め, 出血部位としては上葉に多い傾向を示した。同時に施行した気管支洗浄で, 起炎菌と思われる細菌を認めたのは15例(22.4%)に過ぎなかった。高血圧例が中等量以上の出血で有意に(p<0.05)多く, 出血の程度に血圧が影響する可能性が示唆された。気管支動脈造影を30例に行い, 29例(96.7%)に異常所見を認め, 異常所見は上枝に多い傾向...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 21; no. 1; pp. 11 - 15
Main Authors 升谷, 雅行, 山口, 美樹, 古屋, 佳昭, 阿久澤, 浩司, 高橋, 典明, 宮城, 聖子, 大地, 康司, 木曽原, 朗, 堀江, 孝至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1999
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.21.1_11

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Summary:喀血をきたした気管支拡張症67例(男性43, 女性24例, 平均年齢57.0歳)について臨床的に検討した。胸部単純写真で気管支拡張を確認できたのは13例(19.1%)のみであった。気管支鏡検査で, 出血を確認できたのは38例(56.7%)と過半数を占め, 出血部位としては上葉に多い傾向を示した。同時に施行した気管支洗浄で, 起炎菌と思われる細菌を認めたのは15例(22.4%)に過ぎなかった。高血圧例が中等量以上の出血で有意に(p<0.05)多く, 出血の程度に血圧が影響する可能性が示唆された。気管支動脈造影を30例に行い, 29例(96.7%)に異常所見を認め, 異常所見は上枝に多い傾向を示した。また, 出血部位の同定にも有意と思われた。喀血の治療はほとんどが止血剤投与による保存的治療で改善したが, 大量喀血と思われた13例には気管支動脈塞栓術を行い, 良好な結果を得た。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.21.1_11