気道内広範囲に発生した上皮内癌の1例
背景.今回我々は気管および両側主気管支を含む気道内広範囲に発生した上皮内癌と考えられた1例を経験したので報告する.症例.症例は65歳,男性.2000年10月に健診の喀痰細胞診でD判定を指摘された.近医を受診し,胸部X線写真およびCTでは明らかな異常は指摘されなかったが,気管支鏡検査にて気管分岐部から両側主気管支にかけての広範囲に発赤が強く不整な粘膜を認めた.当院受診後に行った生検から,いずれも上皮内癌(扁平上皮癌)の診断が得られ,気管および両側主気管支を含む気道内に広範囲連続性に認めた上皮内癌であった.外科的切除およびレーザー療法などの内視鏡的治療は困難と考え,化学療法に引き続き放射線外照射を...
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| Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 24; no. 7; pp. 515 - 520 |
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| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2002
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
| DOI | 10.18907/jjsre.24.7_515 |
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| Summary: | 背景.今回我々は気管および両側主気管支を含む気道内広範囲に発生した上皮内癌と考えられた1例を経験したので報告する.症例.症例は65歳,男性.2000年10月に健診の喀痰細胞診でD判定を指摘された.近医を受診し,胸部X線写真およびCTでは明らかな異常は指摘されなかったが,気管支鏡検査にて気管分岐部から両側主気管支にかけての広範囲に発赤が強く不整な粘膜を認めた.当院受診後に行った生検から,いずれも上皮内癌(扁平上皮癌)の診断が得られ,気管および両側主気管支を含む気道内に広範囲連続性に認めた上皮内癌であった.外科的切除およびレーザー療法などの内視鏡的治療は困難と考え,化学療法に引き続き放射線外照射を施行した.治療後は生検にて腫瘍細胞の消失を認めた.肺門部早期癌は,同時性・異時性に多発する頻度が高い特徴があり,文献的考察より本例は同時性に広範囲に発生した上皮内癌と考えられた.結論.本例のような上皮内癌例も存在しうることから,外科的切除が第一選択となるような限局性の上皮内癌例においても,呼吸機能温存,高い多発性という観点から,外科的切除に加えて内視鏡的治療をはじめとする種々の治療を組み合わせた集学的治療を考慮する必要もあると考えられた. |
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| ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
| DOI: | 10.18907/jjsre.24.7_515 |