当院における喀血症例の検討 : 気管支動脈塞栓術後の治療難渋例について

目的.喀血に対して気管支動脈塞栓術(BAE)は有用であるが,再発や出血のコントロールに難渋する例も経験される.今回喀血に対してBAEを行った自験例,特に再発例およびその治療に抵抗性であった症例について検討した.対象.1999年1月から2003年12月までの5年間に喀血の疑いで当院にて気管支鏡(BF)を施行した88例中BAEによる治療を行った17例.これらの症例の診療録を検討調査した.内訳は男性13例,女性4例で平均年齢63.7歳(37〜81歳).喀血の原因は気管支拡張症5例,陳旧性肺結核4例,アスペルギルス症3例,肺化膿症1例,肺癌1例,非特異性出血3例であった.方法.BFにて出血関連気管支が...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 28; no. 1; pp. 43 - 48
Main Authors 小林, 弘明, 高田, 宗尚, 呉, 哲彦, 白崎, 浩樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2006
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.28.1_43

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Summary:目的.喀血に対して気管支動脈塞栓術(BAE)は有用であるが,再発や出血のコントロールに難渋する例も経験される.今回喀血に対してBAEを行った自験例,特に再発例およびその治療に抵抗性であった症例について検討した.対象.1999年1月から2003年12月までの5年間に喀血の疑いで当院にて気管支鏡(BF)を施行した88例中BAEによる治療を行った17例.これらの症例の診療録を検討調査した.内訳は男性13例,女性4例で平均年齢63.7歳(37〜81歳).喀血の原因は気管支拡張症5例,陳旧性肺結核4例,アスペルギルス症3例,肺化膿症1例,肺癌1例,非特異性出血3例であった.方法.BFにて出血関連気管支が同定された場合緊急処置として,または24〜48時間以内にBAEを施行.塞栓物質としてはgelatin spongeを使用した.結果.気管支鏡によるトロンビン注入が3例に対して行われており,うち2例に止血が得られた.BAEはのべ28例に施行された.5例にBAEが複数回施行されており(2〜4回)止血に難渋した2例で気管支動脈,肋間動脈およびそれ以外の血管の関与が見られた.BAEでも止血が得られなかった1例(陳旧性肺結核術後の肺癌症例)に左残存肺全摘術を行った.この症例の気管支動脈造影で肺動脈-気管支動脈シャントが認められた.治療後経過観察期間は2〜52ヶ月であり15例に良好な止血が得られた.結論.喀血に対してBAEは有効な手段であるが,複数の血管が関与している症例や,慢性炎症により局所の肺循環が破綻している例では手術も含めた治療法の検討が必要であると思われた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.28.1_43