多剤耐性肺結核切除例における術前排菌状況、切除肺空洞病巣内結核菌検索結果と再排菌との関連性について(第25回日本気管支学会総会)
[目的]多剤耐性肺結核切除例の, 術前の排菌状況, 切除肺空洞内結核菌検査所見と, 切除後の再排菌との関係についての検討. [対象と方法]1983~2001年に結核予防会複十字病院呼吸器外科で, 73人の多剤耐性肺結核患者に対し80回の肺切除術を施行した. それら80例のうち, 切除肺空洞内容の結核菌検査施行例が74例, さらに術後1年以上経過した再排菌状況の判明例が63例あった. 今回これらの症例について, 術2ヶ月前の痰結核菌検査結果および切除肺空洞内容の結核菌検査結果と, 再排菌状況との関連性について検討した. [結果]空洞内容菌検索施行74例の, 術2ヶ月前の痰結核菌塗抹または培養陽性...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 24; no. 3; p. 192 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2002
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.24.3_192_1 |
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Summary: | [目的]多剤耐性肺結核切除例の, 術前の排菌状況, 切除肺空洞内結核菌検査所見と, 切除後の再排菌との関係についての検討. [対象と方法]1983~2001年に結核予防会複十字病院呼吸器外科で, 73人の多剤耐性肺結核患者に対し80回の肺切除術を施行した. それら80例のうち, 切除肺空洞内容の結核菌検査施行例が74例, さらに術後1年以上経過した再排菌状況の判明例が63例あった. 今回これらの症例について, 術2ヶ月前の痰結核菌検査結果および切除肺空洞内容の結核菌検査結果と, 再排菌状況との関連性について検討した. [結果]空洞内容菌検索施行74例の, 術2ヶ月前の痰結核菌塗抹または培養陽性(以下菌陽性)は48例(64.9%), 塗抹および培養陰性(以下菌陰性)は26例(35.1%), 前者菌陽性48例の空洞内容は, 菌陽性40例菌陰性8例, 後者菌陰性26例の空洞内容は, 菌陽性陰性13例ずつで, 術前痰菌陽性例では有意に空洞内容菌陽性門率が高かった. いっぽう再排菌状況の判明している63例では, 術前疫菌陰性21例中1例のみに再排菌, 菌陽性42例中11例に再排菌を認め, また空洞内容菌陰性18例では再排菌例はなく, 菌陽性45例のうち12例に再排菌を認めた. これらの結果, 術前痰菌陽性例, 空洞内容菌陽性例が有意に術後再排菌の確率が高いと判明した. [結語]多剤耐性肺結核例では, 術前に可及的に痰の菌量減少をはかる方が, 空洞内容の菌遺残も少なく, 肺切除後の術後再排菌も抑えられる. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.24.3_192_1 |