羽毛布団使用により感作が継続したと推測される鳥飼病の1例(第25回日本気管支学会総会)

症例は47歳の男性. 30歳頃より軽度の労作時呼吸困難を認めるも放置. 45歳時近医にて肺線維症と診断され, 47歳時精査を求めて当院受診. 粉塵吸入歴はなく, 膠原病を示唆する身体所見および血清学的陽性所見も認められなかった. 胸部X線写真上び漫性網状陰影を認め, CT写真では胸膜直下および気道に沿った線維性病変を認めた. 胸部画像所見に加え血清KL-6が5080U/mlと異常高値であったことから慢性過敏性肺臓炎を疑った. 詳細な問診の結果, 現在ペット飼育歴はないが25年前まで鳩40羽の飼育歴があり鳥飼病が考えられた. 慢性過敏性肺臓炎ではBALF所見はリンパ球増加あるいは好中球増加を示し...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 24; no. 3; p. 261
Main Authors 山田, 嘉仁, 吉澤, 靖之, 河野, 千代子, 天野, 裕子, 宮坂, 洋二, 山口, 哲生, 大谷, 義夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2002
日本気管支学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.24.3_261_3

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Summary:症例は47歳の男性. 30歳頃より軽度の労作時呼吸困難を認めるも放置. 45歳時近医にて肺線維症と診断され, 47歳時精査を求めて当院受診. 粉塵吸入歴はなく, 膠原病を示唆する身体所見および血清学的陽性所見も認められなかった. 胸部X線写真上び漫性網状陰影を認め, CT写真では胸膜直下および気道に沿った線維性病変を認めた. 胸部画像所見に加え血清KL-6が5080U/mlと異常高値であったことから慢性過敏性肺臓炎を疑った. 詳細な問診の結果, 現在ペット飼育歴はないが25年前まで鳩40羽の飼育歴があり鳥飼病が考えられた. 慢性過敏性肺臓炎ではBALF所見はリンパ球増加あるいは好中球増加を示し, 細胞分画からの診断は難しいが吸入誘発試験後の分画変化は参考になる. 本例は呼吸機能の問題から気管支鏡検査は施行できなかったが, 鳩血清添加末梢血単核球増殖試験および鳩排泄物に対する抗体が陽性であったため臨床的に鳥飼病と診断した. 飼育後の感作継続には羽毛布団の使用が考えられた. ステロイドパルス後症状は改善するもステロイド減量中に急性増悪を起こし永眠された. 教訓的な1例であり剖検所見および文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.24.3_261_3