マイクロサンプリングプローベを用いた気道上皮被覆液中の薬物動態の検討
【目的】抗菌薬の標的部位である気管支, 肺胞系への薬剤の移行を正しく評価することは重要である. 今回我々は低侵襲で経気管支鏡下に気道上皮被覆液を採取することができるマイクロサンプリングプローベ(MSプローベ)を用いて気道上皮被覆液を採取し, 抗菌薬内服後の気道被覆液中の薬物動態を検討した. 【対象】健常成人5人で最近呼吸器感染症の既往のないものとした. 【方法】gatifloxacin(GFLX)200mg内服後, 1, 2, 3, 4, 6, 10, 24時間後に気管支鏡を反復施行し, MSプローベ(外套2.5mm, 検体採取用綿プローベ1.9mm)を用いて気道上皮被覆液を採取した. 【結果...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 3; p. 191 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2003
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.25.3_191_1 |
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Summary: | 【目的】抗菌薬の標的部位である気管支, 肺胞系への薬剤の移行を正しく評価することは重要である. 今回我々は低侵襲で経気管支鏡下に気道上皮被覆液を採取することができるマイクロサンプリングプローベ(MSプローベ)を用いて気道上皮被覆液を採取し, 抗菌薬内服後の気道被覆液中の薬物動態を検討した. 【対象】健常成人5人で最近呼吸器感染症の既往のないものとした. 【方法】gatifloxacin(GFLX)200mg内服後, 1, 2, 3, 4, 6, 10, 24時間後に気管支鏡を反復施行し, MSプローベ(外套2.5mm, 検体採取用綿プローベ1.9mm)を用いて気道上皮被覆液を採取した. 【結果】すべての健常者において気道上皮被覆液を安全に反復採取することができ, 薬物動態の解析が可能であった. 血液中のCmax 1.344±0.38μg/ml(平均±SEM), Tmax 1, 0hに対し, 気道上皮被覆液中ではCmax 3.043±1.401μg/ml, Tmax 1, 0hであった. 血液と比較し気道上皮被覆液中のGFLX濃度は全測定時間を通じ高かった. 【結論】健常成人に対するMSプローベを用いた気道上皮被覆液の採取は低侵襲性であり, 気道局所の薬剤濃度を連続的に測定できる有用な手技である. 血液中と比較し, 気道上皮被覆液ではGFLX濃度が高い傾向にあり, 今後呼吸器感染症の治療薬としてより有効であると考える. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.25.3_191_1 |