悪性腫瘍による中枢気道狭窄に対する気管支鏡下治療
背景, 目的. 悪性腫瘍による中枢気道狭窄は重篤な呼吸困難に至るため, 早急な狭窄の解除が必要である. 標準的治療は外科療法であるが, 多くの症例が手術不能例または困難例であるため, 内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療等の気管支鏡下治療が施行されることが多い. 今回, 当科において施行された内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療について検討した. 対象. 1996年11月より2003年9月までに, 内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療が施行された悪性腫瘍による枢気道狭窄52例(男性39例, 女性13例)を対象とした. 結果. 内視鏡的レーザー治療施行例は21例, 基礎疾患は肺癌9例...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 27; no. 1; pp. 50 - 54 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2005
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.27.1_50 |
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Summary: | 背景, 目的. 悪性腫瘍による中枢気道狭窄は重篤な呼吸困難に至るため, 早急な狭窄の解除が必要である. 標準的治療は外科療法であるが, 多くの症例が手術不能例または困難例であるため, 内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療等の気管支鏡下治療が施行されることが多い. 今回, 当科において施行された内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療について検討した. 対象. 1996年11月より2003年9月までに, 内視鏡的レーザー治療, 気道ステント治療が施行された悪性腫瘍による枢気道狭窄52例(男性39例, 女性13例)を対象とした. 結果. 内視鏡的レーザー治療施行例は21例, 基礎疾患は肺癌9例, 甲状腺癌7例, 腎癌気管内転移4例, 肺癌気管支内転移1例, 狭窄部位は気管15例, 主気管支4例, 中間気管支幹2例であった. 再狭窄をきたした5例を除く16例において呼吸困難の改善がみられた. 気道ステント治療施行例は31例, 基礎疾患は肺癌21例, 甲状腺癌6例, 食道癌3例, 乳癌縦隔リンパ節転移1例, 狭窄部位は気管17例, 気管〜主気管支3例, 主気管支9例, 中間気管支幹2例であった. 留置されたステントはUltraflex stent19例(25個), Covered Ultraflex stentl例(1個), Spiral Z stent9例(12個), Z stent2例(3個)であり, 全例において呼吸困難の改善がみられた. 内視鏡的レーザー治療施行例のうち5例が生存中で, 平均生存期間は24.5ヵ月, 5年生存率19.4%, また, 気道ステント治療施行例のうち10例が生存中で, 平均生存期間は15.8ヵ月, 3年生存率30.0%であった. 結論. 悪性腫瘍による中枢気道狭窄に対する気管支鏡下治療は, 致死的な換気障害に対する救命処置として重要であるばかりでなく, QOLの改善, 維持にも有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.27.1_50 |