細径内視鏡を用いて排膿を行ったMycobacterium kansasiiによる感染性肺嚢胞の1例

背景.感染性肺嚢胞の治療として膿の積極的排除が有用なことが示されている。われわれはM.kansasiiによる感染性肺嚢胞にこの手法を用いて治療を行った.症例.発症時40歳男性.2000年4月,胸痛と発熱を初発症状として感染性肺嚢胞が発見された.1カ月以上の抗菌剤の治療にもかかわらず炎症が遷延したため,ドレナージを行った.その際に細径内視鏡下に嚢胞内の粘調な膿を積極的に排除したのち,嚢胞内にドレーンを留置した.翌日から解熱した.膿の塗抹検査で抗酸菌が検出されたため抗結核剤を開始し,結核の専門施設へ転院した.後日,膿の培養でM.kansasiiが検出されたため再び転院してきた.ドレーンを抜去したの...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 3; pp. 129 - 132
Main Authors 鈴木, 秀一, 桝田, 幹郎, 鈴木, 隆, 菊池, 敏樹, 臼田, 亮介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.3_129

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Summary:背景.感染性肺嚢胞の治療として膿の積極的排除が有用なことが示されている。われわれはM.kansasiiによる感染性肺嚢胞にこの手法を用いて治療を行った.症例.発症時40歳男性.2000年4月,胸痛と発熱を初発症状として感染性肺嚢胞が発見された.1カ月以上の抗菌剤の治療にもかかわらず炎症が遷延したため,ドレナージを行った.その際に細径内視鏡下に嚢胞内の粘調な膿を積極的に排除したのち,嚢胞内にドレーンを留置した.翌日から解熱した.膿の塗抹検査で抗酸菌が検出されたため抗結核剤を開始し,結核の専門施設へ転院した.後日,膿の培養でM.kansasiiが検出されたため再び転院してきた.ドレーンを抜去したのち退院となった.結果.7年間の経過中,肺炎を2回経験したがそれぞれ回復した.結論.M.kansasiiによる感染性肺嚢胞の治療として細径内視鏡を用いた嚢胞内の膿の積極的な排除は有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.3_129