気道病変の治癒過程を気管支鏡的,病理組織学的に経時的に追跡し得た気道熱傷の1例
背景.気道熱傷の治癒過程を病理組織学的に検討した報告は少ない.症例.症例は72歳女性.自宅にて火災に遭い,体表面積の31%を占める熱傷と気道熱傷合併のため緊急入院となった.気管支鏡所見では気道粘膜に煤の付着を認めた.第9病日に分泌物増加と浮腫による気道狭窄のため人工呼吸器下管理となったが,頻回のbronchial toiletにより回復,第34病日に人工呼吸器を離脱した.気管支鏡所見では時間の経過とともに煤の消失,浮腫の減少,光沢の回復を認めた.気管支粘膜生検より得られた病理組織所見では,第3病日に粘膜上皮の脱落,第24病日に多層の再生上皮による被覆,第31病日に線毛上皮を認めた.粘膜上皮下組...
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| Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 4; pp. 204 - 209 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2008
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
| DOI | 10.18907/jjsre.30.4_204 |
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| Summary: | 背景.気道熱傷の治癒過程を病理組織学的に検討した報告は少ない.症例.症例は72歳女性.自宅にて火災に遭い,体表面積の31%を占める熱傷と気道熱傷合併のため緊急入院となった.気管支鏡所見では気道粘膜に煤の付着を認めた.第9病日に分泌物増加と浮腫による気道狭窄のため人工呼吸器下管理となったが,頻回のbronchial toiletにより回復,第34病日に人工呼吸器を離脱した.気管支鏡所見では時間の経過とともに煤の消失,浮腫の減少,光沢の回復を認めた.気管支粘膜生検より得られた病理組織所見では,第3病日に粘膜上皮の脱落,第24病日に多層の再生上皮による被覆,第31病日に線毛上皮を認めた.粘膜上皮下組織には初期に好中球を主とする炎症性細胞浸潤および浮腫を認めたが,経過とともにリンパ球優位となり,後期に細胞浸潤は軽度となった.結論.気道病変の治癒過程を気管支鏡所見と病理組織所見から経時的に観察し得た気道熱傷の1例を経験した.気道熱傷の評価や予後の予測において有用な所見であると考えられた. |
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| ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
| DOI: | 10.18907/jjsre.30.4_204 |