杉本ら"癌による主気管支閉塞で生じた一側完全無気肺に対してマイクロ波腫瘍凝固療法により一葉以上の含気を回復した11例の検討"

原著論文「癌による主気管支閉塞で生じた一側完全無気肺に対してマイクロ波腫瘍凝固療法により一葉以上の含気を回復した11例の検討」について. YAGレーザーによる腫瘍焼灼はそのエネルギーの高さゆえ, 高濃度酸素吸入下の実施に危険を伴い, さらに大出血のリスクもある. マイクロ波による凝固ではかようなリスクは少なく, 本報告を拝読すると, 太い気道閉塞の治療に適しているようである. しかし, 開通させるまでに時間を要することを考えると気管での高度な狭窄には適応がないかもしれぬ. この論文で興味を引いたのは気管支閉塞からその再開通までの肺の生理学的変化, とくに著者らが考察している再膨張肺水腫について...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 2; pp. 56 - 57
Main Author 長尾, 啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.2_56

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Summary:原著論文「癌による主気管支閉塞で生じた一側完全無気肺に対してマイクロ波腫瘍凝固療法により一葉以上の含気を回復した11例の検討」について. YAGレーザーによる腫瘍焼灼はそのエネルギーの高さゆえ, 高濃度酸素吸入下の実施に危険を伴い, さらに大出血のリスクもある. マイクロ波による凝固ではかようなリスクは少なく, 本報告を拝読すると, 太い気道閉塞の治療に適しているようである. しかし, 開通させるまでに時間を要することを考えると気管での高度な狭窄には適応がないかもしれぬ. この論文で興味を引いたのは気管支閉塞からその再開通までの肺の生理学的変化, とくに著者らが考察している再膨張肺水腫についてである. 一般的に無気肺の時間が長ければ長いほど再伸展しにくいことは容易に想像できるが, 再膨張肺水腫のリスクとの関係はどうであろうか. 自分が経験した再膨張肺水腫は, 重度の自然気胸や大量胸水を伴う癌性胸膜炎へのチューブドレナージ後に発症したものである.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.2_56