電子診療録へのスタンプ貼付によるベンゾジアゼピン受容体作動薬減薬の取り組みとその評価

「緒言」 ベンゾジアゼピン受容体作動薬[以下, benzodiazepine (BZD)系薬]は, 抗不安作用, 筋弛緩作用, 抗うつ作用, 催眠鎮静作用等の様々な薬理作用を有している. また, バルビツレート系薬剤に比べ, 耐性と依存性の形成リスクが低いことや大量服薬時の致死性が低いことから臨床現場で汎用されている. その一方で, せん妄, 転倒・骨折, 認知機能低下や臨床用量における依存形成などの問題が指摘されている. 日本老年医学会における高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015では, BZD系薬は高齢者で重篤な有害事象が出易く, より安全な代替薬があると判断される薬剤に位置づけられて...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 139; no. 11; pp. 1449 - 1456
Main Authors 川尻, 雄大, 堤, 一樹, 金澤, 康範, 小林, 大介, 猪狩, 圭介, 島添, 隆雄, 光安, 博志, 進, 健司, 神村, 英利, 村上, 智哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.11.2019
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.19-00087

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Summary:「緒言」 ベンゾジアゼピン受容体作動薬[以下, benzodiazepine (BZD)系薬]は, 抗不安作用, 筋弛緩作用, 抗うつ作用, 催眠鎮静作用等の様々な薬理作用を有している. また, バルビツレート系薬剤に比べ, 耐性と依存性の形成リスクが低いことや大量服薬時の致死性が低いことから臨床現場で汎用されている. その一方で, せん妄, 転倒・骨折, 認知機能低下や臨床用量における依存形成などの問題が指摘されている. 日本老年医学会における高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015では, BZD系薬は高齢者で重篤な有害事象が出易く, より安全な代替薬があると判断される薬剤に位置づけられており, 使用を控えることが推奨されている. BZD系薬は治療用量でも長期投与を避けることが望ましく, 頓服で使用する場合においても依存の獲得につながる可能性がある. また, BZD系薬の適正使用を推進する観点から, 2017年3月に医薬品医療機器総合機構によるBZD系薬の依存性に関する注意喚起がなされ, 2018年度の診療報酬改定では向精神薬調整連携加算が新設された.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.19-00087