校正印刷事業場における作業環境改善状況について
「はじめに」 2012年5月に, 大阪市内の校正印刷会社で複数従業員に胆管がんが集中して発症していることが報告された1)ことを端緒として, 印刷業において有機溶剤を用いて洗浄作業を行う労働者の健康被害の問題が大きくクローズアップされた2). この事案は. 厚生労働省においても重大なものと受け止め, 全国の洗浄作業を行う印刷業に対する現地一斉点検を実施し, その結果, 有機溶剤中毒予防規則(有機則)の違反等の多くの問題点が浮かび上がった3-5). 当該事業場での事例を含め, 校正印刷作業者に多発した胆管がんの発症には, 1,2-ジクロロプロパン, ジクロロメタンなどの有機塩素系溶剤が疑われている...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 56; no. 1; pp. 16 - 20 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本産業衛生学会
01.01.2014
日本産業衛生学会 |
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ISSN | 1341-0725 1349-533X |
DOI | 10.1539/sangyoeisei.D13001 |
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Summary: | 「はじめに」 2012年5月に, 大阪市内の校正印刷会社で複数従業員に胆管がんが集中して発症していることが報告された1)ことを端緒として, 印刷業において有機溶剤を用いて洗浄作業を行う労働者の健康被害の問題が大きくクローズアップされた2). この事案は. 厚生労働省においても重大なものと受け止め, 全国の洗浄作業を行う印刷業に対する現地一斉点検を実施し, その結果, 有機溶剤中毒予防規則(有機則)の違反等の多くの問題点が浮かび上がった3-5). 当該事業場での事例を含め, 校正印刷作業者に多発した胆管がんの発症には, 1,2-ジクロロプロパン, ジクロロメタンなどの有機塩素系溶剤が疑われているもの6)の, 当該事業場における発生の詳細やこれまでの作業状況等については調査中であり, 業務と発症との因果関係については不明な事柄もあり, 全貌の早期解明が待たれる状況にある. とはいうものの, 今後同種の事案を発生させないためには, 業務と発症の因果関係の解明を待つまでもなく, 速やかに現在存在する種々の問題点を改善することが重要である. |
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ISSN: | 1341-0725 1349-533X |
DOI: | 10.1539/sangyoeisei.D13001 |