成人用気管カニューレの形態的な観点からの気管切開合併症の検討 ―気管切開孔の適切な管理に向けて
わが国において成人例に用いる代表的な気管カニューレ7種類 (内径 8mm カフ付き単管カニューレ) の形態の比較と気管カニューレ合併症を来した症例におけるリスク要因の解析を行い, 気管カニューレの形態面から見た気管切開孔管理のポイントについて検討した. 各カニューレの形態比較では, 外径 0.9mm, 弯曲角度20°, 静止カフ外径 10mm の差があった. また, 曲率半径の差は最大で 28.8mm, ウイングからの深さの差は最大で 29.9mm であり, 製品により大きく異なっていた. 気管カニューレ合併症回避については, 致命的となり得る気管腕頭動脈瘻, 縦隔内迷入, 気管食道瘻の事例を...
Saved in:
Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 123; no. 12; pp. 1361 - 1366 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.12.2020
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.123.1361 |
Cover
Summary: | わが国において成人例に用いる代表的な気管カニューレ7種類 (内径 8mm カフ付き単管カニューレ) の形態の比較と気管カニューレ合併症を来した症例におけるリスク要因の解析を行い, 気管カニューレの形態面から見た気管切開孔管理のポイントについて検討した. 各カニューレの形態比較では, 外径 0.9mm, 弯曲角度20°, 静止カフ外径 10mm の差があった. また, 曲率半径の差は最大で 28.8mm, ウイングからの深さの差は最大で 29.9mm であり, 製品により大きく異なっていた. 気管カニューレ合併症回避については, 致命的となり得る気管腕頭動脈瘻, 縦隔内迷入, 気管食道瘻の事例を解析した. カニューレの形態の観点からは, 気管腕頭動脈瘻の予防には曲率半径を, 縦隔内迷入のリスクに対しては気管までの深さを, 気管食道瘻の回避には静止カフ外径を指標として気管カニューレを選択することが望ましい. 耳鼻咽喉科は, 気管切開を専門に扱う診療科であり, われわれ耳鼻咽喉科専門医は安全な気管切開孔管理を啓発すべき立場にある. これらのカニューレの特性を理解し, カニューレ選択の観点からも合併症の回避に向けた取り組みが必要である. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.123.1361 |