小児用簡易咀嚼回数計を用いた測定方法の基礎的検討

【目的】この研究の目的は,小児の日常的な食事における望ましい咀嚼習慣の定着を目的に開発された,簡易咀嚼回数計の精度について検討することである。この研究によって得られた結果は,小児を対象とした食育実践を評価するうえで,また関連研究に用いるうえで役立つものと考えられる。 【対象者及び方法】本研究は,2つの幼稚園の園児(5-6歳)61名を対象に行った。研究には小児用簡易咀嚼回数計(日陶科学株式会社)を用い,同一内容の幼稚園の給食を食べた際の咀嚼回数について,2週間期間をおいて測定した。測定には3名の測定スタッフが従事し,測定器の装着と調整及びプロトコルに基づく対象児の観察を行った。再現性の検討に有効...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 68; no. 3; pp. 213 - 219
Main Authors 佐藤, ななえ, 吉池, 信男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 2010
日本栄養改善学会
Subjects
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.68.213

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Summary:【目的】この研究の目的は,小児の日常的な食事における望ましい咀嚼習慣の定着を目的に開発された,簡易咀嚼回数計の精度について検討することである。この研究によって得られた結果は,小児を対象とした食育実践を評価するうえで,また関連研究に用いるうえで役立つものと考えられる。 【対象者及び方法】本研究は,2つの幼稚園の園児(5-6歳)61名を対象に行った。研究には小児用簡易咀嚼回数計(日陶科学株式会社)を用い,同一内容の幼稚園の給食を食べた際の咀嚼回数について,2週間期間をおいて測定した。測定には3名の測定スタッフが従事し,測定器の装着と調整及びプロトコルに基づく対象児の観察を行った。再現性の検討に有効なデータとして,37名分の2回測定の値を用いた。測定の再現性はピアソンの相関係数を算出し,さらにアルトマンプロットにより,繰り返し2回測定データの差の程度や傾向を分析した。 【結果】測定結果から得られた咀嚼回数,食事に要した時間,咀嚼リズムの相関係数は,r=0.67,r=0.76,r=0.70であり,いずれも有意な正の相関(p<0.001)が示された。アルトマンプロットでは,37名のデータのうち95%のデータが一致性の範囲内(-367.9~+276.5)に分布した。 【結論】測定結果に良好な再現性が認められたことから,本測定器を用いることにより,比較的低コストで,測定者及び対象者への大きな負担もなく,食育実践の評価や関連研究を行うことが可能となるだろう。しかし,さらに信頼できる良好なデータを得るためには,測定スタッフの訓練を含む標準化された適切な測定手順を用いる必要がある。 (オンラインのみ掲載)
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.68.213