視神経管骨折を伴う外傷性視神経症に対する内視鏡下視神経管開放術の有用性

外傷性視神経症は頭部顔面外傷に合併する疾患であり, 時に永久的な視力障害の原因となる. 視神経管骨折を伴う症例の場合には視神経管開放術を勧める報告があるが, 手術適応や手術を行う時期について明確な指針はない. また, CT などの画像検査において視神経管骨折の診断が困難な場合があることも治療方針の決定に影響する. 当院では視神経管骨折による外傷性視神経症に対して, 眼科, 脳神経外科と連携して積極的に経鼻内視鏡下視神経管開放術およびステロイド投与による治療を行っている. 2015年5月から2017年5月の期間に本手術を6例経験したので治療経過を報告する. 年齢は17~78歳, 受傷から手術まで...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 121; no. 11; pp. 1373 - 1380
Main Authors 平賀, 良彦, 小澤, 宏之, 伊藤, 文展, 吉浜, 圭祐, 中原, 奈々, 小川, 郁, 関水, 真理子, 釜本, 大, 渡部, 佳弘, 齋藤, 真, 猪狩, 雄一, 冨田, 俊樹, 戸田, 正博, 太田, 優, 佐藤, 陽一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.11.2018
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.121.1373

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Summary:外傷性視神経症は頭部顔面外傷に合併する疾患であり, 時に永久的な視力障害の原因となる. 視神経管骨折を伴う症例の場合には視神経管開放術を勧める報告があるが, 手術適応や手術を行う時期について明確な指針はない. また, CT などの画像検査において視神経管骨折の診断が困難な場合があることも治療方針の決定に影響する. 当院では視神経管骨折による外傷性視神経症に対して, 眼科, 脳神経外科と連携して積極的に経鼻内視鏡下視神経管開放術およびステロイド投与による治療を行っている. 2015年5月から2017年5月の期間に本手術を6例経験したので治療経過を報告する. 年齢は17~78歳, 受傷から手術までの待機期間は19時間~6日であった. 6例中5例で眉毛部外側に外傷を認めた. 術前 CT で視神経管骨折を確認できた症例は3例であったが, 術中所見では全例で視神経管に骨折を認めた. 術前視力は4例が手動弁以上, 2例が光覚弁のない症例であり, 術後6カ月目の視力は5例で改善を認め, 1例では視力は改善せず, この症例は手術待機時間が6日間であった. 今回の検討で, 視神経管骨折を画像検査で診断することが困難な症例では, 眼科的な評価に加えて眉毛外側の創傷が視神経管骨折の診断に役に立った. 視神経管骨折による外傷性視神経症の症例では早期に視神経管開放術を施行し, 術前後ステロイド投与を行うことで視力が改善する症例が多く, 本治療は有効な治療法であると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.121.1373