食道手術におけるドレーンの適正使用

現在の食道手術の多くは悪性腫瘍に対するリンパ節郭清を伴う食道切除再建術であるが,鏡視下手術の普及に伴って施設や外科医により異なるアプローチや再建ルートでさまざまな術式が行われている。しかし,食道離断時と吻合時以外は術中汚染の機会は少ない手術である。通常,食道と再建臓器の吻合部とリンパ節郭清を行った主に胸部・頸部にドレーンを留置するが,術直後は胸腔と連続しているので基本的に閉鎖式で陰圧管理する。第一に予防・診断目的のドレーン留置だが,術後感染性合併症発症時の治療を念頭においた適切な留置と管理が重要である。しかし,術式の多様性ゆえに適正使用のエビデンスはなく,各施設で成績を踏まえた適正使用法を確立...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 2; pp. 167 - 173
Main Authors 星野, 敢, 鍋谷, 圭宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 30.04.2018
Japan Society for Surgical Infection
Subjects
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.2_167

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Summary:現在の食道手術の多くは悪性腫瘍に対するリンパ節郭清を伴う食道切除再建術であるが,鏡視下手術の普及に伴って施設や外科医により異なるアプローチや再建ルートでさまざまな術式が行われている。しかし,食道離断時と吻合時以外は術中汚染の機会は少ない手術である。通常,食道と再建臓器の吻合部とリンパ節郭清を行った主に胸部・頸部にドレーンを留置するが,術直後は胸腔と連続しているので基本的に閉鎖式で陰圧管理する。第一に予防・診断目的のドレーン留置だが,術後感染性合併症発症時の治療を念頭においた適切な留置と管理が重要である。しかし,術式の多様性ゆえに適正使用のエビデンスはなく,各施設で成績を踏まえた適正使用法を確立したい。手術手技の向上に加えて細径・小型軽量化した器材の開発や新しいドレナージ法の報告もあり,安全で術後早期回復に役立つドレーンの使用法を常に考えていく必要がある。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.2_167