肝胆膵外科におけるドレーン使用の原則

肝胆膵手術後のドレーンは,出血の診断や合併症治療に有用であると考えられているが,逆行性感染の原因ともなり,予防的留置には議論がある。本稿では,肝胆膵手術におけるドレーン留置のランダム化比較試験を俯瞰し,術後ドレーンの有用性について検討した。胆囊摘出術では,開腹・腹腔鏡下ともにドレーンの有用性は認めなかった。肝切除術においても,ドレーン留置の有用性を認めた研究はない。しかしながら胆道再建を伴う肝切除に関する検討はない。膵切除術に関しては,膵体尾部切除術のランダム化比較試験では,ドレーンの有無で差を認めず,ドレーンは不要であると結論している。膵頭十二指腸切除術のランダム化比較試験は 2つあるが,結...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 2; pp. 174 - 180
Main Authors 石田, 晶玄, 大塚, 英郎, 海野, 倫明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 30.04.2018
Japan Society for Surgical Infection
Subjects
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.2_174

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Summary:肝胆膵手術後のドレーンは,出血の診断や合併症治療に有用であると考えられているが,逆行性感染の原因ともなり,予防的留置には議論がある。本稿では,肝胆膵手術におけるドレーン留置のランダム化比較試験を俯瞰し,術後ドレーンの有用性について検討した。胆囊摘出術では,開腹・腹腔鏡下ともにドレーンの有用性は認めなかった。肝切除術においても,ドレーン留置の有用性を認めた研究はない。しかしながら胆道再建を伴う肝切除に関する検討はない。膵切除術に関しては,膵体尾部切除術のランダム化比較試験では,ドレーンの有無で差を認めず,ドレーンは不要であると結論している。膵頭十二指腸切除術のランダム化比較試験は 2つあるが,結果は相反していた。現段階では,胆囊摘出術や,胆道再建を伴わない肝切除術において,予防的ドレーン留置は不要と思われるが,胆道再建を伴う肝切除術や,膵切除術においてドレーン留置は有用であると考えている。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.2_174