OCT angiographyが診断に有用と考えられた陳旧性前部虚血性視神経症の2例

目的:陳旧性前部虚血性視神経症(AION)の診断にOCT angiography(OCTA)が有益と考えられた症例を経験したので報告する.症例1:62歳,男性.16か月前に右眼の急激な上方視野障害を自覚.初診時視力右(1.0),左(1.5).GPで右眼上方に深い暗点を伴う水平性視野障害があり,視神経乳頭の色調は蒼白.FAは早期の脈絡膜充盈遅延を認めるも後期は有意な所見無し.OCTAで扇型の放射状乳頭周囲毛細血管(RPC)の密度減少を認めた.症例2:75歳,男性.15か月前に右眼の急激な下方視野障害を自覚.初診時視力右(0.4),左(0.6).GPで右眼鼻下側に深い暗点を伴う水平性視野障害があり...

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Published in神経眼科 Vol. 37; no. 3; pp. 303 - 310
Main Authors 戸島, 慎二, 藤井, 聖子, 熊瀬, 文明, 望月, 夕子, 細川, 満人, 小野, 恭子, 岡野内, 俊雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.09.2020
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.37.303

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Summary:目的:陳旧性前部虚血性視神経症(AION)の診断にOCT angiography(OCTA)が有益と考えられた症例を経験したので報告する.症例1:62歳,男性.16か月前に右眼の急激な上方視野障害を自覚.初診時視力右(1.0),左(1.5).GPで右眼上方に深い暗点を伴う水平性視野障害があり,視神経乳頭の色調は蒼白.FAは早期の脈絡膜充盈遅延を認めるも後期は有意な所見無し.OCTAで扇型の放射状乳頭周囲毛細血管(RPC)の密度減少を認めた.症例2:75歳,男性.15か月前に右眼の急激な下方視野障害を自覚.初診時視力右(0.4),左(0.6).GPで右眼鼻下側に深い暗点を伴う水平性視野障害があり,視神経乳頭所見から緑内障を合併していると考えられたが,急激な視野障害を説明できなかった.FAは有意な所見無し.OCTAで扇型のRPC密度減少を認めた.結果:急性の水平性視野障害からAIONが疑われるも眼底所見,FAは有意な所見が無かった.OCTAで視野障害と対応するRPC密度減少を認め,陳旧性AIONの可能性があると考えられた.結論:陳旧性AIONの補助診断にOCTAが活用できる可能性がある
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.37.303