弱視と対光反射異常
片眼弱視の弱視眼に対光反射異常は生じるのだろうか?本稿では,これまでの弱視の対光反射異常に関する報告をレビューした.弱視眼における相対的瞳孔求心路障害(RAPD)の陽性率は0~82%と報告者によって大きなばらつきがみられた.また,弱視眼にRAPDを認めた場合でも,弱視の原因が影響するか否か,弱視の重症度との関連性,振幅と潜時のどちらに異常がみられたか,などの結果は報告者によって様々である. 片眼弱視のRAPDの原因として,網膜神経節細胞レベルでの異常や対光反射への大脳皮質の関与などが推測されている.一時はほぼ全面的に否定されたかに思われた弱視の網膜異常説に関しては,光干渉断層計(OCT)の登場...
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Published in | 神経眼科 Vol. 40; no. 2; pp. 115 - 120 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
25.06.2023
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ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
DOI | 10.11476/shinkeiganka.40.115 |
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Summary: | 片眼弱視の弱視眼に対光反射異常は生じるのだろうか?本稿では,これまでの弱視の対光反射異常に関する報告をレビューした.弱視眼における相対的瞳孔求心路障害(RAPD)の陽性率は0~82%と報告者によって大きなばらつきがみられた.また,弱視眼にRAPDを認めた場合でも,弱視の原因が影響するか否か,弱視の重症度との関連性,振幅と潜時のどちらに異常がみられたか,などの結果は報告者によって様々である. 片眼弱視のRAPDの原因として,網膜神経節細胞レベルでの異常や対光反射への大脳皮質の関与などが推測されている.一時はほぼ全面的に否定されたかに思われた弱視の網膜異常説に関しては,光干渉断層計(OCT)の登場で,弱視の網膜微細構造の評価が近年盛んに行われている.RAPD陽性の片眼弱視を対象にOCT所見を詳細に検討した報告は見当たらないが,弱視の網膜厚に関する研究の多くは弱視の網膜構造変化に対して否定的な見解を示している. これまでの研究から,大きな対光反射異常が,弱視眼で一貫して検出されるわけではないということは確かであるが,症例ごとの観察では弱視眼に小さなRAPDを認めることもある.その原因については明確な結論が得られておらず,今後の研究結果が待たれる. |
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ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.40.115 |