人間ドック受診者のメンタルヘルスについて―ストレス関連疾患の早期発見・早期治療のために

目的:当診療所では,人間ドック開設当初よりストレスと疾病との関連を重視し,質問紙によるストレスチェックを行ってきた.今回,総合判定の前にストレステストを分析することにより,ストレス関連疾患の早期発見・早期治療につながる可能性を得たので報告する.方法:平成15年4月より平成17年3月までの人間ドック受診者のうち,ストレステストを希望した1,108名で男性811名,女性297名を対象とし,当財団付属ストレス科学研究所版ストレスチェックリストを実施した.希望者に対しては,医師が詳細な個別面接を行った.ストレス指数が高得点(81点以上)であった51名につき分析した.結果:51名の内訳は心身症が18名,...

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Published in人間ドック Vol. 21; no. 3; pp. 666 - 673
Main Author 前口, 邦雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2006
日本人間ドック学会
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock2005.21.666

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Summary:目的:当診療所では,人間ドック開設当初よりストレスと疾病との関連を重視し,質問紙によるストレスチェックを行ってきた.今回,総合判定の前にストレステストを分析することにより,ストレス関連疾患の早期発見・早期治療につながる可能性を得たので報告する.方法:平成15年4月より平成17年3月までの人間ドック受診者のうち,ストレステストを希望した1,108名で男性811名,女性297名を対象とし,当財団付属ストレス科学研究所版ストレスチェックリストを実施した.希望者に対しては,医師が詳細な個別面接を行った.ストレス指数が高得点(81点以上)であった51名につき分析した.結果:51名の内訳は心身症が18名,生活習慣病が17名で,さらに適応障害,不安障害,軽症うつ病等の精神疾患も高率に認められた.結論:人間ドック受診者である30-50代には勤労に伴うストレスが多く蓄積し,心身に強く影響していると思われる.ストレスチェックリストは受診者の不安やうつなどのメンタルヘルス状況を把握する一つの有効な手段である.生活習慣の改善やストレス対処法の指導を行うために,面接には十分な時間をかける必要がある。今後は人間ドックを心身両面での総合的な健康測定の場としてとらえ,身体疾患だけでなくストレス関連疾患の予防と早期発見・早期治療につなげることが重要と考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock2005.21.666