Propionibacterium acnesとサルコイドーシス

サルコイドーシス (サ症) は原因不明の全身性肉芽腫疾患で, 疾患感受性のある宿主が環境中の何らかの原因微生物や抗原物質 (起因体) に暴露されて発症するものと想定されている. Propionibacterium acnes (P. acnes) はサ症病変部から培養可能な唯一の微生物で, 日本人だけでなく欧米諸国のサ症患者病変部から本菌DNAが高率・多量に検出される. また, P. acnes DNAは肉芽腫内に集積して存在することも判明しており, 本菌がサ症肉芽腫形成の原因微生物である可能性が高い. 本菌由来のトリガーファクター蛋白は, 慢性安定期にあるサ症患者の約2割で患者特異的な細胞性...

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Published inNIHON SARUKOIDOSHISU / NIKUGESHUSHIKKAN (The Japanese journal of sarcoidosis and other granulomatous disorders ) Vol. 23; no. 1; pp. 11 - 21
Main Author 江石, 義信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会 2003
Japan Society of Sarcoidosis and other Granulomatous Disorders
Subjects
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ISSN1345-0565
1884-6122
DOI10.14830/jssog1999.23.11

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Summary:サルコイドーシス (サ症) は原因不明の全身性肉芽腫疾患で, 疾患感受性のある宿主が環境中の何らかの原因微生物や抗原物質 (起因体) に暴露されて発症するものと想定されている. Propionibacterium acnes (P. acnes) はサ症病変部から培養可能な唯一の微生物で, 日本人だけでなく欧米諸国のサ症患者病変部から本菌DNAが高率・多量に検出される. また, P. acnes DNAは肉芽腫内に集積して存在することも判明しており, 本菌がサ症肉芽腫形成の原因微生物である可能性が高い. 本菌由来のトリガーファクター蛋白は, 慢性安定期にあるサ症患者の約2割で患者特異的な細胞性免疫反応を誘導可能であり, これをアジュバントとともにマウスに皮下免疫することで実験的に肺肉芽腫症を誘導することも可能であることから, P. acnes抗原に対して遅延型アレルギー素因を有する患者が, 病変部局所で常在あるいは異常増菌するアクネ菌を起因体として発症している可能性がある.
ISSN:1345-0565
1884-6122
DOI:10.14830/jssog1999.23.11