膵切除各術式における膵液瘻発生頻度

膵切除術後合併症のうち,膵液瘻(以下,PF)に関する最新の報告を横断的に検討した。膵頭十二指腸切除術後のPFでは,膵胃吻合が膵空腸吻合より良好な術後成績と報告され,陥入法と膵管空腸粘膜吻合法との比較では術後成績は同等であった。膵管ステントの留置は,PFの減少に有用であったが,内瘻と外瘻に関する成績は同等であった。尾側膵切除術では,PFの予防に膵断端の処理法が重要となる。現在広く行われている自動縫合器による膵断端の処理は汎用性の高い方法ではあるが,他の方法を大きく凌駕する成績までは得られていない。メッシュによる断端の補強は臨床上問題となるISGPF Grade B/CのPFの発生を低下させ,有用...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 1; pp. 85 - 93
Main Authors 及能, 拓朗, 水口, 徹, 今村, 将史, 永山, 稔, 山口, 洋志, 木村, 康利, 竹政, 伊知朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 28.02.2018
Japan Society for Surgical Infection
Subjects
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.1_85

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Summary:膵切除術後合併症のうち,膵液瘻(以下,PF)に関する最新の報告を横断的に検討した。膵頭十二指腸切除術後のPFでは,膵胃吻合が膵空腸吻合より良好な術後成績と報告され,陥入法と膵管空腸粘膜吻合法との比較では術後成績は同等であった。膵管ステントの留置は,PFの減少に有用であったが,内瘻と外瘻に関する成績は同等であった。尾側膵切除術では,PFの予防に膵断端の処理法が重要となる。現在広く行われている自動縫合器による膵断端の処理は汎用性の高い方法ではあるが,他の方法を大きく凌駕する成績までは得られていない。メッシュによる断端の補強は臨床上問題となるISGPF Grade B/CのPFの発生を低下させ,有用性が示唆された。膵切除術においてPFを予防する方法は依然として未解決事項であるが,PFの完全克服にむけて今後もさまざまな知見が得られることを期待したい。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.1_85